クアルコムにもグーグルにも頼らずファーウェイ復活か!?
調査会社TechInsightsによると、2023年第3四半期の中国のスマートフォン出荷台数で、ファーウェイの名前が入ってきました。8月末から出荷を開始した「HUAWEI Mate 60」シリーズが絶好調で、このまま行けばトップ5入りに返り咲く日も近そうです。
中国のスマートフォン全出荷台数は前年同期比で5%の減少となりました。メーカー別の出荷台数比率はトップがHONORの18%、2位がOPPO(OnePlus含む)の17%、続くvivoも17%で、アップルは15%で4位、5位にシャオミが14%と続きます。トップ5社の合計は81%となりますが、前年同期はこの5社で87%を占めており、その他のメーカーの勢いが増しています。
その筆頭となるのがファーウェイで、出荷台数は13%とシャオミのすぐ後を追いかけます。ファーウェイは前年同期で出荷台数を倍増させたとのことですが、驚くべきことにこの台数の伸びは8月末から9月末までの約1ヵ月間に出荷したHUAWEI Mate 60シリーズに起因します。もしもHUAWEI Mate 60シリーズが7月頭に発売されていたら、第3四半期の出荷台数シェアはシャオミやアップルを抜いていたかもしれません。
HUAWEI Mate 60シリーズは中国で品切れが続くほど人気となっています。国産に成功したという新型チップセット「Kirin 9000S」の歩留まりが悪いとも言われており、生産が追い付かないことも品切れを起こしている原因かもしれません。とはいえ、人気そのものはしばらく落ちないでしょうから、10~12月の第4四半期にどれだけの数字を残すのか気になるところ。第4四半期は毎年アップルが強いものの、アップルは中国で現在苦戦しているだけにファーウェイとの争いが見ものです。
ファーウェイは折りたたみスマートフォンにもKirin 9000Sを搭載した「HUAWEI Mate X5」を第3四半期に発売しました。折りたたみスマートフォン全体ではOPPOにトップを抜かれたものの、ファーウェイ製品に対する人気は衰えていません。OPPOが好調なのはこれまで折りたたみモデルに興味を持っていなかったユーザーを掘り起こ したことであり、中国全体の折りたたみスマートフォン市場を活性化させています。
ファーウェイもOPPO以前に中国で最も売れた折りたたみスマートフォン「Pocket S」の後継機の発表がそろそろのはず。ちなみにPocket Sは2022年11月2日発表でした。OPPOもファーウェイも折りたたみモデルで数が出ているのは縦折りスタイルのモデルであり、Pocket Sの後継機次第では再びファーウェイが中国折りたたみモデルシェアトップの座を奪い返すかもしれません。
ここまでの話は中国市場のことで、グローバルではまだまだ苦戦が続くでしょう。しかし、製品が売れれば新技術や新機能の開発も活発化し、より優れた製品が出てくることでライバルメーカーを大きく刺激します。今年3月に発表した「HUAWEI Mate X3」は折りたたみスマートフォンとは言えぬ薄型軽量モデルで、折りたたみスマートフォンの概念を180度変え、HONORがさらに軽量モデルを出してきました。
ファーウェイスマートフォンの進化は、たとえそれが中国内だけのものに限定されたとしても、グローバル市場に大きな影響を与える存在になるわけです。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
この連載の記事
-
第702回
スマホ
ドバイの超巨大ショッピングモールでシャオミストアを発見! 「ミニチュアドバイ」を撮影した -
第701回
スマホ
Galaxy A55 5Gの姉妹モデル、革張り高級スマホが海外に登場 -
第700回
スマホ
vivoからも登場した「フォトグラフィーキット」はカメラスマホのマストアイテムだ -
第699回
スマホ
海外で販売好調の「nubia Flip 5G」、デザイン特化や楽しいケースが急増中 -
第698回
スマホ
スマホにレンズフィルターが常識に!? シャオミやvivoのスマホが67mmフィルターに対応 -
第697回
スマホ
やっぱり出てきた「折りたたみスマホ」風の折りたたみケータイ -
第696回
スマホ
「ガンダムスマホ」も出していたゲーミングスマホのBlack Shark、現在の主力製品はアクセサリー -
第695回
スマホ
84万円の縦折スマホ「VERTU IRONFLIP」はどこかで見たことあるデザイン -
第694回
スマホ
シャオミの最強カメラスマホ「Xiaomi 14 Ultra」の技適を確認! 日本発売ある!? -
第693回
スマホ
衛星スマホやクラウドノートPCなど、UNISOCチップ搭載の謎端末がアツイ! -
第692回
スマホ
ライカの有無で画質はどう違う? Xiaomi 13T Proの日本版とグローバル版の写真を比較 - この連載の一覧へ