ブランドプロデューサー・柴田陽子さん/40代から何かを新しく始めたいなら、迷っている場合ではない

文●志賀佳織

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 人生100年時代といわれる昨今、自分らしい働き方や暮らし方を模索する女性たちが増えている。そんな女性たちに役立つ情報を発信するムック『brand new ME! ブランニューミー 40代・50代から選ぶ新しい生き方BOOK vol.1』(KADOKAWA刊)から抜粋してお届けするインタビューシリーズ。今回は、ブランドプロデューサーの柴田陽子さんに、40代・50代からの生き方や働き方について伺った。

ブランドプロデューサーとして、名だたる企業のプロジェクトを手がけてきた柴田陽子さん。常に目の前のことに一生懸命、「正攻法」で人生を切り拓く。

道の真ん中を堂々と歩けるような生き方をすること

 ブランドプロデューサーとして、企業のコーポレートプランディング、店舗プロデュース、商品開発など多岐に渡るブランディングを手がける柴田陽子さん。2014年の会社設立以来、東急電鉄「ログロード代官山」「渋谷ヒカリエ」、東京會舘など、数々のビッグプロジェクトに携わってきた。

 その柴田さんが2021年「Shibajimu Academy(シバジムアカデミー)」というオンライン講座を開講。2022年10月にはカリキュラムをリニューアル開講した。対面で具体的なブランディングを講義する講座もあるが、基本は、進む道を迷う女性たちに向けて、提言をし、考える場を与えることが主眼だ。

「現在40~50代の女性たちの中で、100歳までの人生プランを思い描いていた人というのは少ないと思うんです。だから、何を軸に今後の人生を決めたらいいかわからない。でもこれからは、自分がどう生きたいかのイメージと決める力をしっかり持って、選んだり、準備したりということがどうしても必要になってくる。そんな変わりたくてモヤモヤしている人のための講座です。成長のための気づきや学びは自分で取っていく必要があるんです」

 講座のタイトルにもなっている「道の真ん中を歩く」というのは、柴田さんのモットーだが、その意味とは何か。

「簡単に言えば『正攻法』ですね。楽な方向へ流されることなく、正しいプライドを持って目指すべきところに向かう。『日の当たるところに出て恥ずかしくない仕事を堂々とやる』と言ってもいいかもしれません。リスキリングがもてはやされていますが、スキルだけを上書きしても下支えするものも強くてよいものに変わらなければ、それは本物ではなくなってしまいます。私は下支えの価値を伝えたいと思います」

29歳のときのレストラン開店事業が原点になっている

  柴田さん自身、現在のポジションに来るまでには、さまざまなライフシフトがあった。もともとは裕福な家庭で何不自由なく育っていたのが、父の事業の失敗が原因で、ある日全財産を失った。仕事面ではカフェの経営・事業開発を希望していたのが、まさかの秘書職に配属されて道が見えなくなったときもあった。しかし、そこで柴田さんは「3年はここで頑張る」と決め真剣に仕事に打ち込む。そして、ついにはレストランの事業開発を任されるに至った。

「一番のライフシフトというか、最初の大きな仕事は29歳のとき上司に『半年で行列のできるレストランを作ってみなさい』と言われ開店事業に携わったことですね。プロジェクトは大成功で、これが私の原点になっています」

  運に恵まれた特別な人のように見えるが、柴田さんの今は「真ん中を歩く」努力を積み重ねてあるのだということがよくわかるエピソードだ。

「よく『40代からでも人生やり直せますか』と聞かれます。『大丈夫ですよ』と言いたいところですが、そこまでサボってきたのだったら人の何倍もの努力が必要だと言わざるを得ません。何をやったらいいかわからないという方は、まず好きなこと、続けられることを探したらいいのだと思います。それから、それを自分の経済活動に紐づける必要があるかどうかを判断する。必要があるならば仕事として成り立たせる努力をする。『もう無理』という発想からは何も生まれません。開拓精神と上昇志向は忘れず、行動を早くです!」

  これほどの多忙な仕事をこなしながら、プライベートでは結婚して二人の息子を育ててきた柴田さん。10年後の目標を聞くとこんな答えが返ってきた。

「自分のやりたいことを気兼ねなく堂々とできる、道の真ん中を歩ける女性が増えることですね。私も子育て中は、仕事と家事、育児の両立に悩み、女性経営者の先輩たちに助言を仰いできました。すると『そんなの全然平気よ』と対処法を教えていただくことが多かったんです。一人悩んで罪悪感に駆られながら働く女性も少なくない。これからは私がロールモデルになれたらいいなと。『柴田さんも小さな子がいても出張に行ってたよ』と説得材料に使ってもらえるように、道を切り拓いていきたいと思っています」

40代から何かを新しく始めたいなら、迷っている場合ではないという柴田さん。ご自身も体力作りのためにゴルフに取り組んでいる。

Profile:柴田陽子

しばた・ようこ/1971年、神奈川県生まれ。新規事業開発などを経験。2004年「柴田陽子事務所」設立。ブランドプロデューサーとして、コーポレートブランディング・店舗プロデュース・商品開発などのコンサルティング業務を請け負う。2013年アパレルブランド「BODERSat BALCONY」を設立。2021年には、「人間力」を育てる学校「シバジムアカデミー」を開校。近著に『勝者の思考回路 成功率100 % のブランドプロデューサーの秘密』など。

Instagram:@aya.jima

この記事の編集者は以下の記事もオススメしています

過去記事アーカイブ

2023年
07月
09月
10月
11月
12月