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中性子星でも地震が起こっている?宇宙電波バースト観測から示唆

2023年10月19日 17時49分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、数ミリ秒程度の短い継続時間で、突然、電波で輝く突発天体「高速電波バースト(fast radio burst:FRB)」の統計的性質を精密に調査し、地球の地震と性質がそっくりの「余震」が起こっていることを発見した。FRBは中性子星で発生していると考えられているが、その発生メカニズムはまだよくわかっていない。今回の結果は、FRBが中性子星表面の固体地殻で発生している地震(星震)に関連していることを強く示唆するものだとしている。

東京大学の研究チームは、数ミリ秒程度の短い継続時間で、突然、電波で輝く突発天体「高速電波バースト(fast radio burst:FRB)」の統計的性質を精密に調査し、地球の地震と性質がそっくりの「余震」が起こっていることを発見した。FRBは中性子星で発生していると考えられているが、その発生メカニズムはまだよくわかっていない。今回の結果は、FRBが中性子星表面の固体地殻で発生している地震(星震)に関連していることを強く示唆するものだとしている。 FRBは2007年に最初の発見報告以来、これまでに600個以上検出されており、そのうちの50個ほどは、繰り返してバーストを起こす「リピーター」であることがわかっている。研究チームは今回、1つの中性子星で発生している多数のFRBの発生時刻に着目。最も活動的な3つのFRB源から検出された7000回に近いバーストの発生時刻とバーストのエネルギーの間の関係を「2点相関関数」と呼ばれる数学的手法を用いて調べた。 その結果、1つのバーストが発生した直後は、関連した「余震」のバーストが起こりやすくなっており、余震の起こりやすさ(頻度)が、経過時間のべき乗で減衰することがわかった。余震の頻度がこのように変化することは地球の地震ではよく知られていて、実際、研究チームが日本の地震データに今回の解析手法を適用すると、非常によく似ていることが確認された。一方で、太陽フレアに対して同じ解析をしたところ、FRBや地震とは全く異なるという結果が得られた。 今回の結果は高速電波バーストの起源解明に大きな手がかりとなるだけでなく、余震の性質を詳しく調べることで、中性子星の内部物質の情報を引き出し、原子核物理学などの基礎物理法則についても新たな知見を得る可能性があるという。研究論文は、英国の王立天文学会月報(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)に2023年10月11日付けでオンライン掲載された

(中條)

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