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「PLATEAU✕ストーリーテリング」で、都市の面白さを伝える“自分だけのストーリー”を作る

青山学院大学・フェリス女学院大学合同「PLATEAU ストーリーテリングハッカソン 2023」レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

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自分の思いをコンテンツにして伝えた各作品

 最優秀賞のほか、各審査員の個別賞が発表された。それぞれの作品を紹介する。

PLATEAU賞:チーム「富樫待ち」

 PLATEAU賞は「PLATEAUでめぐる花火大会の穴場スポット」。青学とフェリス混合チームによる作品で、PLATEAUの建物データを使って花火大会の穴場スポットを巡ることができる。

 打ち上げられる花火の大きさ(直径)と高度を赤い球体で表し、その赤い球体が見えれば花火が見えるということになる。花火が見えるスポットをストーリーテリング機能でプロットした。花火大会を楽しむアシストツールとして考えられているほか、参照可能な動画のリンクも提示するなど、このコンテンツだけでも楽しめるよう工夫されている。

たとえば隅田川花火大会であれば、汐入公園からだとこのように見える

 内山氏はPLATEAU賞の選出ポイントとして、「建物の3Dモデルをうまく使えていた」という点を挙げた。また、「"花火大会の穴場スポット探し"はいろんな人が考えてきたアイデアでもあり、そういう意味ではソリューションとしても完成されているものかと思う。今回、短い時間の中でうまくストーリーテリングとして見せていた。実際に見つけた穴場にみんなで行ってみてほしい」と述べた。

国土交通省 総合政策局/都市局 IT戦略企画調整官 内山 裕弥氏

岡田賞(ユーカリア賞):チーム「K-POP Lover」

 岡田賞(ユーカリア賞)はチーム「K-POP Lover」。自分の好きなK-POPをテーマに、K-POPアイドルが来日時に訪れた場所をストーリーテリングで紹介する。こちらも個人参加の作品だ。

 有名なスポットから有名でもない意外な場所まで、K-POPのアイドルが訪れた場所がファンの間で聖地として大きな話題になっている。その数々の聖地を、K-POPの来日コンサートがよく行われる東京と大阪に絞って紹介。それまで普通に通っていた場所でも、「推しが◯◯した」と文脈が加わることで印象が変わってくるのだという。

K-POPアイドルに人気のラーメン店「一蘭」。味だけでなく、席が仕切られていることも人気の理由ではないかと考察する

 岡田氏は受賞の理由として、自分の思い入れを強く押し出し、臆さずにコンテンツを作っている点を挙げた。「本人が実際にその場所に行って感じた所感を入れるなど、私小説やインスタグラム的な表現に昇華する可能性を感じた。場所から逆引きしたりとかタグ付けして絞り込みしたりといった拡張機能もあるので、いろんなツールを使って今後も臆さずにコンテンツをつくってもらいたい」と述べた。

株式会社Eukarya 岡田 未知氏

古橋賞:チーム「ラテグミ」

 古橋賞はチーム「ラテグミ」の作品。アニメ映画『バケモノの子』をコンセプトにして、渋谷を舞台に映画のシーンに登場する場所を巡っていく。

 スクランブル交差点、渋谷駅、そして主人公とバケモノが出会う高架下、渋谷図書館、渋谷氷川神社というように、映画のシーン(スクリーンショット)とともに見ていくことができる。

映画のシーンに登場するスポットを地図上に重ねた

 古橋教授は選出のポイントとして、土地柄も含めて、その場との組み合わせをうまく表現している点を挙げた。また、データの扱いという点での試行錯誤を評価したという。「PLATEAUのデータにコンテンツを組み合わせるということで、どのチームのみなさんも(掛け合わせるコンテンツの)ライセンスの壁に悩まされたと思う。この作品は"引用"という形で切り抜けようと悩み、なんとかしようと苦しんだところが見えた」と、その理由を語った。

内田賞(コンテンツ賞):チーム「GIS研究会オタク部」

 内田賞(コンテンツ賞)はチーム「GIS研究会オタク部」。歌の聖地巡礼をテーマにした作品で、ゆずの『駅(恵比寿〜上大岡)』の歌詞に出てくる歌や場所のデータをスポットにしてストーリーが展開する。

 作品内で使用している画像イメージは、実際に自分たちで、恵比寿から上大岡まで回って撮影してきた写真を使っている。歌唱も自分たちで行ったという徹底ぶりだ。

 受賞の理由として内田氏は、現地に撮影に行くなど真摯にコンテンツ作りに向き合っている点を評価した。「次回はPLATEAUのデータに歌と写真を融合させて、さらに空間をうまく使ったコンテンツ作りに励んでもらいたい」と期待を寄せた。

フェリス女学院大学 内田 奈津子氏

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