新横浜ラーメン博物館のウラ話 第33回

ラー博にまつわるエトセトラ Vol.28

あの銘店をもう一度第20弾 マグロのアラを白濁させた「ツナコツ」 アメリカ・NY「YUJI RAMEN」

文●中野正博

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 みなさんこんにちは。2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していく「ラー博にまつわるエトセトラ」。

 2022年7月より、過去にご出店いただいた約40店舗の銘店を2年間かけて、3週間のリレー形式で出店していただく「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」と、2022年11月7日より、1994年のラー博開業時の8店舗(現在出店中の熊本「こむらさき」を除く)が、3ヵ月前後のリレー形式で出店する「あの銘店をもう一度“94年組”」がスタートしました。おかげさまで大変多くのお客様にお越しいただいております。

前回の記事はこちら:
あの銘店をもう一度第19弾 京都最古参の中華そば専門店 京都「新福菜館」

過去の連載はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話

 あの銘店をもう一度の第20弾は、逆輸入ラーメン第4弾としてご出店いただいた「YUJI RAMEN」さんです!出店期間は2023年8月8日(火)から8月28日(月)です。

「YUJI AMENツナコツ」

 YUJI RAMEN創業者・原口雄次さんは1981(昭和56)年栃木県宇都宮市生まれ。東京国際大学在学中、交換留学としてアメリカに渡り、オレゴンのウィラメット大学を卒業。帰国後、日本で就職するも「アメリカで自分のレストランを持ちたい」という夢をかなえるため再び渡米。

 渡米後は、レストラン業界を食の流通から勉強するという目的で、魚の卸を中心とした食品商社に就職。「アメリカは寿司を食べるというスタイルだけが上陸し、本当の意味での魚料理の魅力は伝わっていない」と感じていた原口氏は、あえて日本人以外のシェフがいるレストランを開拓し、単純に魚を売るだけではなく、鮮度のいいアラの有効活用を顧客に提案するなど、本当の意味での魚の素晴らしさを伝え続けました。

YUJI RAMEN創業者・原口雄次さん

 全米でトップの成績を収めるようになったころ、頭の中に生まれた大きな志とさまざまなアイデアを具現化するため独立し、2012年、ニューヨークのブルックリンに「YUJI RAMEN」を開業しました。

YUJI RAMEN本店外観

 その2年後の2014年には、ニューヨーク近海でとれた魚を使った一汁三菜の和定食を提供する「OKONOMI」をオープン。魚を丸ごと買い付け、朝と昼は「OKONOMI」として身の部分を焼き魚として提供し、夜は「YUJI RAMEN」に名前を変え、残ったアラの部分を有効活用し、ラーメンを提供しています。このスタイルは、魚の卸時代に培った「MOTTAINAI」という考えを具現化したものです。

 YUJI RAMEN本店ではその日取れた魚のアラを使った日替わりのラーメンから、さまざまなスタイルのラーメンやまぜ麺が存在しますが、2017年のラー博出店時には、その中から日本ではお目にかかったことのない「ツナコツ」にフォーカスを当てて紹介しました。

「YUJI AMENツナコツ」

 マグロのアラを白濁させた唯一無二の「ツナコツラーメン」は、原口氏が魚の卸時代に培った「MOTTAINAI」という考えを具現化したものです。通常、廃棄されるアラの部分を有効活用し、高いクオリティに仕上げた一杯です。

 ツナコツラーメンは、豚骨や鶏ガラなどの動物系素材を一切使用せず、マグロのアラをオーブンでローストし、強火で炊き上げ白濁させたツナコツ(鮪骨)スープ。動物系を一切使用していませんが、ゼラチン質をたっぷり含む力強いスープに仕上がっています。アクセントとして使用する「柚子胡椒」が風味をより一層引き立てます。

マグロのアラをロースとして強火で炊き上げたツナコツスープ

臭みがなく旨味たっぷりのスープ

 麺は「極細ストレート麺」。麺に加える水分(加水)が少ないため、力強いスープとのマッチングは絶妙です。

 チャーシューの代わりに低温の油でじっくりと火を通した「マグロのコンフィ」。

 しっとりホロホロ食感で旨みたっぷりです。

 その他の具材はスープを引き立たせるため、白髪ねぎ、カイワレ、みょうがとシンプルな構成。

マグロのコンフィ

 マグロのアラを白濁させた唯一無二の「ツナコツ」ラーメンを、この機会に是非ご堪能ください。

 出店期間は2023年8月8日(火)~8月28日(月)です。

 皆様のお越しをお待ちしております。

 次回、銘店シリーズ第21弾は博多「ふくちゃんラーメン」さんです!

お楽しみに!!

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文/中野正博

中野正博

プロフィール
1974年生まれ。海外留学をきっかけに日本の食文化を海外に発信する仕事に就きたいと思い、1998年に新横浜ラーメン博物館に入社。日本の食文化としてのラーメンを世界に広げるべく、将来の夢は五大陸にラーメン博物館を立ち上げること。