挑戦する土壌とイノベーションが循環するエコシステム形成を目指す「ひろしまユニコーン10」プロジェクト
「ひろしまユニコーン10」プロジェクト開始から1年間の成果とこれから
提供: 広島県
広島が県をあげて、スタートアップをはじめとした起業家等の支援を行っている。2022年3月、広島県は「広島からユニコーンに匹敵する企業を10年間で10 社創出する」という目標を掲げた「ひろしまユニコーン10」プロジェクトをスタートした。
スタートアップをはじめ、新規事業でカーブアウトを目指す社内ベンチャー、“跡継ぎ”ベンチャーなどを対象に、個社の状況に応じた支援のほか、VC(ベンチャーキャピタル)や事業会社とのマッチング機会を提供している。
今回「ひろしまユニコーン10」プロジェクトに採択され活動したスタートアップ3社と、同プロジェクトを運営する広島県イノベーション推進チームの担当者にインタビューを実施。プロジェクト開始1年の具体的な取り組みや成果、支援内容などについて話を伺った。
夢を本気で応援してもらえる環境を肌で感じ移転を決意
セディカル株式会社
「ひろしまユニコーン10」プロジェクトでは企業の成長フェーズやニーズ、分野に応じた10種類の支援メニューを提供している。成長フェーズに合わせた支援のひとつがアクセラレーションプログラム「HIROSHIMA UNICORN10 STARTUP ACCELERATION」だ。スタートアップを対象にVC(ベンチャーキャピタル)や先輩起業家などがメンターとしてハンズオン支援を行う。2023年6月以降、第2期挑戦者の募集も行われる予定だ。
セディカル株式会社は、同プログラムに採択された企業が参加した2023年3月の成果発表会で最優秀賞を受賞した。同社は、がんや糖尿病患者でも安心して食べられるチョコレート「Medicalate(メディカレート)」をはじめとするスイーツを開発、販売するスタートアップだ。同社代表取締役社長の宮田和季氏にプログラム参加のきっかけや取り組みについて伺った。
――プログラム参加のきっかけを教えてください。
宮田和季氏(以下、敬称略):きっかけは、「ひろしまユニコーン10」のプレスリリースを目にしたことです。セディカルは2021年3月創業で、当初からメンバーたちと「ユニコーンを目指そう。地方からユニコーンを目指すことが当たり前になればいい」と話をしていました。
ヘルスケア企業としてグローバル展開支援に興味を持ちましたが、広島県のイノベーション推進課の方に直接お会いして話を伺う中で、地方からユニコーンを目指すには多くの人に応援してもらえる環境が必要と考え、「HIROSHIMA UNICORN10 STARTUP ACCELERATION」にも参加することにしました。
――どんなことに取り組んだのでしょうか。
宮田:主には新商品の開発です。2023年秋オープン予定の東京・南青山のスイーツショップ向けに、ODM生産するケーキのラインナップ拡充に取り組みました。このプログラムで出会った方々から、自分たちだけでは思い浮かばなかったアイデアをいただいたり、それを実現するための商材を紹介いただいたりしました。
また、元広島東洋カープの安部友裕さんとプロテインバーの開発を始めました。これもプログラムに参加した方々とのお話とご紹介がきっかけでした。元アスリートとして安部さんは食品の成分や原材料に強いこだわりをお持ちでした。実際にお会いして「Medicalate」をお渡ししたときも、真っ先に成分表示を確認されていました。そこで私たちの食と健康に対する意識や「Medicalate」のこだわりについてお話し、初対面から意気投合できました。
――出会った人たちとのご縁やつながりがきっかけになることが多かったのですね。
宮田:そうですね。メンタリングでは実務的な経営に関することを学んだり、相談させていただいたりしました。とくにメンターとしてお世話になったイーストベンチャーズ株式会社の大柴貴紀さんには踏み込んだアドバイスをたくさんいただきました。プログラムをきっかけにご縁をいただいた方々とは、いまも連絡を取らせていただいています。
――広島県への本社移転も決めたとお聞きしました。
宮田:私が広島県出身ということもあり以前から検討していましたが、今回のプログラムを通じて決心しました。移転を決めた一番の理由は、広島県が本気でユニコーン創出に取り組んでいると感じたからです。
創業間もないのに地方から「ユニコーンを目指す」と夢のようなことを言う自分たちを本気で応援してくれる人たちの存在には本当に勇気をもらえます。期待に応える成果を出して、サポートしてよかったと思っていただけるように、グローバル企業を目指していきます。