佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第184回
ソフトとハードが一体となった高品質な再生、本格的なオーディオメーカーであると実感
ラズパイオーディオで有名なVolumioが取り組む、ネットワークオーディオの国内正式発表
2023年04月23日 08時00分更新
トップウイング・サイバーサウンドグループは4月19日、イタリアのVolumio製品を新たに取り扱うと発表した。
デジタルストリーマーであり、DACを内蔵しない「RIVO」、DACを内蔵してネットワークプレーヤーとして使用できる「PRIMO」、そしてネットワーク入力とデジタルアンプが一体化した「INTEGRO」の3種類のネットワークオーディオ機器を販売する。
Volumioはラズベリーパイで音楽再生をするためのOSとして広く知られているが、同社が取り扱うのはあくまでオーディオ機器のハードウェアであり、ソフトウェア単体のサポートはしないそうだ。
ハードウェアに合わせてソフトウェアもカスタマイズ
来日したVolumioのCEO、Michelangelo Guarise(ミケランジェロ・グゥワリゼ)氏は、Volumioという名前が「音量を表すボリュームとイタリア語で私を意味する“ミオ”の合成語であり、自分に合った形で最高の音を楽しんでほしいという意味が込められている」と語った。
3製品についても、オーディオを楽しむ人はマニアから一般まで広いレベルがあり、そのレベルに合わせたものを用意したということだ。つまり、PRIMOはアナログストリーマーであり、後段に好みのアンプを組み合わせる人向き。RIVOはマニア向けでDACを持っている人向け。そしてINTEGROは、一体型であり最も使いやすい。このように初心者であれ、マニアであれ、同じように音楽を体験してもらいたいという意味を込めたラインアップと言える。
Michelangelo氏がVolumioを始めたのは「若い頃にターンテーブルで得た感動をデジタルで得たいという願いがラズベリーパイの出現によって実現できそうだ」と考えたためだそうだ。そこからオンラインで反響が広がり、会社も大きくなってきた。しかし、ソフトウェアだけでは自分の理想に届かないことにも気が付いたので、究極の音を届けたいという思いからハードウエアを提供することにしたという。
実際に低レベルの最適化にはハードウェアとソフトウェアの組み合わせが必要になるということで、3種類のハードウェアはそれぞれ個別にソフトウェアの調整もしている。これはすべてのプロダクトに対して、それぞれ最適のチューニングを加えているということだ。
RIVOはデジタル出力のみなので最も調整は少なく、PRIMOはネットワーク回路からDACに至るI2Sドライバーを最適化している。また、ビット落ちを防ぐためにPRIMOにはデジタルボリュームを搭載しているが、このソフトウェア部分も最適化を図っているとのこと。さらにアンプ一体型のINTEGROでは、アンプ内蔵のためのさまざまな調整がソフトウェアでも必要となる。
これは「箱で提供して5分で良い音が出せる形が望ましいという理念によるもの」で、いわばアップルのように完全な形でサービスとハードを届けたいという考えだそうだ。また、製品共通の特徴として、外観デザインも洗練されたものに仕上がっている。ボタンを押すだけで立ち上がって使え、さらにそのボタン自体の意匠によりイタリアらしさも提供したいということだ。
3製品は基本ソフトウエアとしてすべて「Volumio 3」が搭載されている。内容はFree版でなくPremium版と同等とのこと。具体的には、プラグイン機能やクレジット検索、CDリッピングなどの付加機能が利用できるが、通常Premium版で発生する月額使用料は含まれている。ネットワークサービスとして、BandcampやSpotify Connectもプラグインとして使用可能だ。TIDALやQobuzにも対応できる。発表会で行われたデモでは実際にiPadから操作して、日本語表示がされることも確認した。
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