西新宿を「みたて」で遊ぶ 第2回

親子で参加するワークショップ「落ち葉から楽しい遊びが生まれるよ」を開催

文●東京工芸大学芸術学学部教授 NPO法人クリエイティブスマイル理事長 笠尾敦司

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都庁を「みたて遊び」してみたら、可愛すぎてごめん的な少女や、カバやゾウたちが生まれてきちゃった

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西新宿を「みたて」で遊ぶ

 こんにちは、笠尾です。

 前回は新宿中央公園のいろいろな場所から都庁を見ると、公園の中にあるいろいろな物との関係でおもしろい「みたて」を見つけ出すことができること。そして、このようなちょっとバカバカしく思える遊びが皆さんの創造性をトレーングすることになるというお話をいたしました。

 その時、トレーニングになりおもしろくもなる「みたて」のコツについてお話しました。それは「なるほど、確かにそう見える」というものを探すよりも、ちょっと似ているものを見つけて、こじつけのおもしろさを狙うことです。強引な「みたて」を見つけて、無理やり人を納得させてしまうものにする方法を考えることが創造性トレーニングになるからです。

 前回のお題は都庁でしたが、今回実施した「みたて」のワークショップでのお題は「落葉」でした。

 実は今回は雨で落葉を公園内で探すことが出来ませんでしたが、私が事前に集めておいた落葉を持ち込んで皆さんにお気に入りを探してもらいました。しかし、本来は以下の写真のように新宿中央公園内で外に出ておこなうはずでした。

1 まず、組み合わせれば何かしらに「みたて」られる鍵になる落葉を探します。大切なのは顔になる部分なので、顔に見えそうな落葉を探すとよいと思います。もちろん何かを強く訴えていると感じられる落葉をみつけたら、それは拾っておきましょう。創造性にはピンとくるひらめきはとても大切なものです。人間を動かすのは感情ですから。

2 次に針金を背骨にして鍵となる落葉を中心にいくつかの葉っぱを組み合わせてキャラクターにしていきます。

 ゆいちゃんは上の写真の中の顔に見える葉っぱを針金に付けているだけですが、皆さんは色々な葉っぱを組み合わせてさまざまな動物を作り出しました。

 みなさん、これがどんな動物かわかりますか?

 よくわからないものもあると思います。

 実は、最後に影絵にするので、これに光を当てて影ができた時にどのように見えるかを何度も実験して作り直しているのです。ですので、落葉で形づくった動物のそのままの見え方よりも、それの影が何に見えるかが大切になるというわけなのです。このような少し捻った思考も、創造性を高めるために必要なことです。みなさん、諦めないで満足できるまで実験されているようでした。

 私も作ったらすぐに実験ができるようにと考えて、実際に投影して見ることのできる本番より小さな実験ブースを用意しました。

 作品を吊るして、お父さんが手に持っている懐中電灯で照らすと

 後ろのスクリーンに映ります。このスクリーンは上下に湾曲しているので、正面からも下からも照らして動物に動きを作り出すことができるので、影を動かすのが楽しくなります。しかも裏側にも映りますので、裏から見ると演者の見えない影絵をシアターで見ているような感じになます。

 兄弟でチェック中。

 お父さん、お母さんは子供の手伝いをしているだけではなく、実は、お子さんを観察ししてもらっています。ですので、とても忙しいのです。お父さんお母さんは保護者としてだけのために来ていただいているのではなく、実はお子さんの才能を発見するための観察力を高めるトレーニングをしてもらっているのです。実際、このワークショップは数ヶ月に一回しか出来ませんので、これでお子さんの能力が飛躍的に上がることはありません。しかし、お子さんの才能を発見するための観察力が高まれば、子供の得意や好きが見えてきて、才能を把握しやすくなるというわけです。

 お父さんが手に持っている紙は、お子さんを観察して記録するための「興味と得意の発見ノート」です。これには、発見するためのコツが書かれていますので、それに従って記入していくと、色々なことに気付き、それの積み重ねで、お子さんの才能を発見できるというわけです。

 さて、この実験ブースで実験して動物キャラクターの形が決まったら、次は大きなステージで発表会です。

 この写真は最初に私が「このワークショップでは実はご両親がメインターゲットなのです」というような話をしているところですが、私の後ろにある白い壁のようなものがメインステージの左右のスクリーンになり、その間の壁がメインスクリーン、天井が上部のスクリーンなります。そして、この部屋の窓は全て目張りしましたので、照明を消すと真っ暗になります。メインステージでは、懐中電灯を動かしながら4方向に影を写して作品上映ができます。とてもダイナミックな影絵になったと思います。

 では、実際に作品上映をしている様子を写した写真を見てください。

 これは沢山の葉っぱを使った大作でした。

 こちらは、海の中です。青緑色のペットボトルに水を入れたものに光を透過させて海の中を表現していました。

 子供の作品発表の後に、お母さんお父さんが子供を観察して発見したことを発表し、私が簡単なコメントをお伝えします。ここでは「作ることより、表現に長い時間をかけて試していたので、作ることそのものより表現に興味を持っているようだ」というお話をされていました。

 今回は、お子さんも、お父さんお母さんも、楽しく真剣に、取り組んでいただけたので、とても良い雰囲気で全行程を終了することが出来ました。ご参加された皆さん本当にありがとうございました。

 全体をまとめた動画も出来上がってきましたので、YouTubeにアップしました。こちらもぜひ御覧ください。

 次回のワークショップは、6月17日(土)に同じく新宿中央公園のエコギャラリーの研修室で開催いたします。募集サイトが開きましたらまたご連絡させていただきます。

 実はみたて遊びをおもしろくするには、まずよく見て発見するための発見力がとても大切になります。その発見力を鍛えるために、名画や絵本の絵をフカヨミすることをおすすめしております。そのフカヨミのやり方を実際に絵本や名画を使ってお見せしている私のYouTubeチャンネルがhttps://www.youtube.com/@kasaoです。

 そして、発見したあとに、いろいろなものと比較する力が見立てに必要になります。そのような「みたて」の総合力をやしなうために、新宿中央公園の中を「ゆいちゃん(この記事の最初に出てきたオレンジ色の女の子のキャラクターです)」と一緒にみたてで遊ぶツイッターがhttps://mobile.twitter.com/kasao_aです。

 どちらも、お子さんの教育ということよりも、成人された方の日常生活に創造性を取り入れて、楽しい生活にしていただくことを目的としております。お子さんがクリエイティブになるためにもまずはご両親からというつもりで行なっております。名画の読み方や、普段たぶん皆さんが字だけ読んであまり見ない絵本の絵の読み方を、YouTubeではお話していますので、ご視聴いただければと思います。

 また、現在、新宿中央公園でみなさんと一緒に先にご紹介したtwitterのspacesで「みたて遊び」の実況をしながら、実際にipadを使って見立て画像を投稿するという、リアルタイム「みたて遊び」の企画も計画しております。現在は実験的におこなっていますが、運用できるようになりましたら、こちらでもご紹介させていただきます。

■関連サイト

文/東京工芸大学芸術学学部教授 NPO法人クリエイティブスマイル理事長 笠尾敦司

東京工芸大学芸術学部教授。東京の西新宿にNPO法人クリエイティブスマイルの事務所を持ち、創造性の根源は自然にあると信じ、絵本と自然に向き合うワークショップの開発と実施を行っている。また、夕日の町西伊豆町の山村大沢里の大自然に魅せられ自分で小屋を立てて2拠点生活をしており、現在はタワマン住まいの子どもたちが多い西新宿で、ほぼ唯一の自然と言える新宿中央公園に大沢里からも自然を持ち込み創造性開発の聖地にすべく画策中。