年始ということで、今年も格安SIMに関する1年の予想を示しておきたいと思う。2022年は筆者の予想どおりにはならず、関連サービスとの連携利用は少しはあったものの大きな変化はさほどなかった。スマートフォンの売り方も同様で、主要なMVNOの淘汰もない状況だった。さて、2023年はどうなるのだろうか。
mineoの新スタイルの使い放題SIMが話題に
まずは簡単に2022年のまとめをしたい。2022年は何もかもが進みが遅かったと言うことができそうだ。菅政権が変わって以降、それまでのような政治主導の料金プランやルール変更もなく、大きな動きとなるきっかけもなかった。
関連サービスとの連携という意味では多少は進展があり、楽天モバイルで「1GBまで0円」がなくなった一方で、楽天ポイントの還元率が上がるなどの連携強化は進んだ。
また、マイナンバーカードの普及のため、カードの申請やマイナポイントの取得について、キャリアショップが手助けをする例も進んでいる。役所とショップが協力して、街頭でマイナンバー受付窓口を特設している例も見かけた。これもキャリアが主導しているキャッシュレスサービスとの連携強化の1つと言うこともできるだろう。
料金プラン自体には大きな変化はないと予想していたが、昼休みは速度制限され、それ以外の時間帯は1.5Mbpsや3Mbpsで使い放題というmineoの定額サービス「マイそく」が話題になった。筆者も便利に利用させてもらっている。
ただ、後追いで同様のサービスを提供する格安SIMがなかったことや、最大1.5Mbpsの「マイそく スタンダード」以外のプランはやや使い道が見つけにくいことから、刺さった人には刺さったものの、そうでない人にはそうでもなかった、ややニッチなサービスだったのかもしれない。
2023年も大きな変化はないのでは!?
MVNO側でなにかしても大きくは動かない
続いて、2023年の予想だが、基本的には大きく変わりそうもない。政治による変化が起こりそうなこともなく、しかも格安SIMに移行するような人は一巡してしまったようにも思えるからだ。
いくら安くて良いサービスを出したとしても、相変わらず「安いサービスには落とし穴がある」のような空気が感じられ、「安いサービスはつながりにくい」といった内容の記事もよく見かけられる。
主要キャリアとMVNOの格安SIMとのサービスの違いは、一般の人が理解するには難しく、「つながりにくい」といった表現から、「エリアが狭い」や「スマートフォンの性能が悪くて、まともに使えない」と考えてしまうこともある。また、回線と端末の分離を政府が言っても、格安SIMと低価格スマートフォンと混同し、安く回線を使うには「安物のスマホ」を使うことを強いられるという誤解もまだまだある。そして継続して使う方法が提供されているとは言え、キャリアメールの壁はいまだ大きい。
そんな状況ではなかなか3大キャリアの通常プランからの大きな移行は望めそうにない。動いたとしても同じキャリアのオンライン専用プランかサブブランドに行くくらいだろう。
そうした状況でもじわじわと浸透しそうなのがドコモショップで扱っているエコノミーMVNO。2022年12月にLIBMOが増えて3社になり、店頭スタッフの詳しい説明があれば移行もありそうだ。ただし、現在のドコモショップは予約なしでは対応してもらえないなど予約優先の営業をしており、言わないと出てこないエコノミーMVNOのSIMをわざわざ選ぶ人がどのくらいいるかを考えると、画期的に伸びることはなさそうだ。
また、MVNO側も変化があるかもしれない。たとえばmineoは、2020~2021年あたりのプラン値下げが相次いだ時期に、低容量よりも10GBや20GBがオトクになる形に移行した。「マイそく」も話題だが、通信量が増加傾向の今こそmineoのオトクさが目立ってきている感じだ。今後、他サービスもユーザーのターゲットを絞った料金体制にシフトする可能性はありそうだ。
スマートフォン販売については、新規契約時にスマートフォンの大幅割引を実施しているサービスが減少傾向で、現在はそれを売りにしているのはOCN モバイル ONEとIIJmioくらいだろう。実店鋪ではBIGLOBEなども例があるが、条件は年々渋くなっているような印象もあり、見直される時期にきているのかもしれない。
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