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70億年前から存在する銀河団内の奇妙な銀河分布を発見=東大

2022年12月27日 06時22分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、銀河の大規模集団である銀河団の中で、成長をやめた銀河の非等方的な分布が、約70億年前の宇宙で既に生じていることを確認。同様の偏りはこれまで比較的最近の宇宙でしか見つかっていなかったが、それが幅広い時代でみられる普遍的な現象であることを突き止めた。成長をやめた銀河の偏りの原因を追求することで、銀河団における銀河の成長史の解明につながることが期待されるという。

東京大学の研究チームは、銀河の大規模集団である銀河団の中で、成長をやめた銀河の非等方的な分布が、約70億年前の宇宙で既に生じていることを確認。同様の偏りはこれまで比較的最近の宇宙でしか見つかっていなかったが、それが幅広い時代でみられる普遍的な現象であることを突き止めた。成長をやめた銀河の偏りの原因を追求することで、銀河団における銀河の成長史の解明につながることが期待されるという。 銀河は新たな星を生み出すことで成長するが、銀河団に属する銀河の多くは成長をやめてしまっていることが知られている。研究チームは今回、「すばる望遠鏡」の超広視野主焦点カメラによる大規模観測で撮像された5000個を超える大量の銀河団を対象に、星形成をやめた銀河の割合が中心銀河の向きに対してどのように変化するのかを調査。銀河団の中心銀河の長軸にそった方向では星形成をやめた銀河の割合が高く、垂直な方向では低くなっていること、さらに、この偏りがおよそ70億年前までの銀河団で検出されたことから、時代によらず普遍的なものであることを明らかにした。 今回の結果は銀河団の中で、中心銀河の長軸方向に分布している銀河の成長を優先的に止めるメカニズムが存在することを示唆している。研究チームは、中心銀河の巨大ブラックホールの活動性や、銀河と銀河団ガスとの相互作用などがその候補として考えられるのではないかとしている。研究論文は、英国王立天文学会誌(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)のオンライン版に2022年12月22日付けで掲載された

(中條)

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