サムスン電子の「Galaxy Z Fold4」は折りたたみスマートフォンであるだけではなく、ペン入力にも対応しタブレットの代替としても十分使える製品です。今や中国メーカー各社からも折りたたみスマートフォンが出ていますが、スタイラス対応モデルはありませんでした。そもそもスタイラスが使えるスマートフォンもファーウェイのMateシリーズの一部などに限られているのです。ところがHONORが11月23日に発表した「Magic Vs Ultimate Edition」はGalaxy Z Fold4同様に折りたたみ型でペン入力に対応。これはもう対抗モデルと言えるでしょう。
HONORは元々ファーウェイのサブブランドでしたが2020年末に独立、旧ファーウェイのMateシリーズの流れをくむ「Magic」シリーズをフラッグシップモデルとして展開しています。2022年3月に発売した「Magic4 Ultimate」は2022年9月にファーウェイが「HUAWEI Mate 50 Pro」を出すまでDXOMarkスコアで1位を誇った最強のカメラフォンです。
そのHONORの初となる折りたたみスマートフォンは2022年1月に発表された「Magic V」でした。製品名の「V」はディスプレーを曲げたシルエットから取ったものでしょう。Magic Vの主なスペックはメインディスプレーが7.9型(2277×1984ドット)、リフレッシュレート90Hz、アウトディスプレーが6.45型(2560×1080ドット)、Snapdragon 8 Gen 1を搭載し、バッテリーは4750mAh、66W充電に対応。カメラは5000万画素メインに5000万画素超広角、800万画素の光学3倍望遠です。
今回発売されたMagic Vs Ultimate EditionはMagic Vの発売から約10ヵ月後のモデルチェンジとなります。Ultimateの名前の付かない「Magic Vs」と同時に発表されましたが、両者の大きな違いはスタイラスへの対応。Magic Vsはスタイラス非対応モデルで、Magic Vs Ultimate Editionのみがスタイラス「Magic-Pen」を利用できます。
Magic Vs/Magic Vs Ultimate EditionはMagic Vのチップセットの性能を引き上げてSnapdragon 8+ Gen 1を搭載、バッテリーも5000mAhへ増強、さらにヒンジ部分の構造を大幅に改善したことで薄くなりました。前モデルと比べると、開いたときは6.1mm(前モデル比0.6mm減)、閉じたとき12.9mm(同1.4mm減)となっています。重量も265g(同33g減)と軽くなりました。なおメインカメラ性能は変わっていません。
それではMagic Vs Ultimateで使えるスタイラス、Magic-Penはどんな性能なのでしょうか? HONORの商品紹介サイトを見ても細かいスペックは記載されていません。ペン先は紙に書く感覚を再現したソフトポリマーを採用しており、ペンタッチは良さそうです。ペンを使って画面のキャプチャも可能、そのまま書き込みもできます。また、Magic-Penは充電してつかうものではないようで、同社のタブレット向けのスタイラス「Magic-Pencil 2」との互換性はなさそうです。
なお、初代Magic VもアップデートによりMagic-Pen対応になるとのこと。1年も経たずに後継機が登場したわけですが、これなら初代モデルユーザーも納得できるでしょう。
気になるのはGalaxy Z Fold4との比較です。Galaxy Z Fold4は7.6型メインディスプレーに6.2型アウトディスプレーを搭載、本体厚みは開いたときが6.3mm、閉じたときが14.2mm(最小値)、また閉じるとヒンジ部分に隙間が開きます。重量は263gです。カメラは5000万画素+1200万画素超広角+1200万画素光学3倍望遠。4400mAhバッテリーの充電速度は25Wとなっています。
スペックを比較してみるとMagic Vs Ultimate Editionのほうが上回っている反面、Galaxy Z Fold4は防水に対応しています。HONORは2023年1月からMagic Vsのグローバル展開もする予定で、Ultimate Editionが発売されるかはわかりませんが、Galaxy Z Fold4とどちらを選ぶか悩む人が増えるのではないでしょうか。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
この連載の記事
-
第703回
スマホ
Xperia人気根強い台湾 21:9の「Xperia 10 VI」が物理SIM2枚対応で日本より先に発売! -
第702回
スマホ
ドバイの超巨大ショッピングモールでシャオミストアを発見! 「ミニチュアドバイ」を撮影した -
第701回
スマホ
Galaxy A55 5Gの姉妹モデル、革張り高級スマホが海外に登場 -
第700回
スマホ
vivoからも登場した「フォトグラフィーキット」はカメラスマホのマストアイテムだ -
第699回
スマホ
海外で販売好調の「nubia Flip 5G」、デザイン特化や楽しいケースが急増中 -
第698回
スマホ
スマホにレンズフィルターが常識に!? シャオミやvivoのスマホが67mmフィルターに対応 -
第697回
スマホ
やっぱり出てきた「折りたたみスマホ」風の折りたたみケータイ -
第696回
スマホ
「ガンダムスマホ」も出していたゲーミングスマホのBlack Shark、現在の主力製品はアクセサリー -
第695回
スマホ
84万円の縦折スマホ「VERTU IRONFLIP」はどこかで見たことあるデザイン -
第694回
スマホ
シャオミの最強カメラスマホ「Xiaomi 14 Ultra」の技適を確認! 日本発売ある!? -
第693回
スマホ
衛星スマホやクラウドノートPCなど、UNISOCチップ搭載の謎端末がアツイ! - この連載の一覧へ