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ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第29話

ラーメン王国新潟から新進気鋭のラーメン店登場! 豚骨×麻婆×担々麵の絶品旨辛麺で新潟を盛り上げる

2022年11月02日 12時00分更新

文● 大熊美智代 編集● ラーメンWalker

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 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2022年、新潟がこれまでの王者・山形を抜いて「中華そばにかけた外食費」全国1位となった。そこで2022年10月5日~10月10日は、ラーメン王国新潟から『麺家 太威』が初出店。店主の石川康志さんは、地元新潟の横浜家系の人気店で修業し、得意の豚骨スープをベースとした麻婆麺や担々麺など、新しい味にチャレンジし続けてきた。今回、「最愛の新潟ラーメン」を味わい尽くす 第1弾として、新潟ラーメンのトップを目指すラーメンを打ち出す!

『麺家 太威』店主・石川康志さん

トラック運転手からラーメン店主へ。新潟ラーメンに新味で旋風を巻き起こす

 石川康志さんは、新潟の中でも旧豊栄市(現:新潟市北区)という、新潟市の中心街から少し離れた田園風景が広がるところで生まれ育った。「新潟には5大ラーメンとかいろんな種類のラーメンがある中で、僕の町にはそれがなかったんです。味噌ラーメンか町中華ばかりでしたね。だから、子供の頃からそんなにラーメンに興味を持つような環境ではなかったんです。高校の時、新潟市の中心部に出てきて、今でいう新潟5大ラーメンを知ったんです」と石川さん。

 専門学校を卒業し、20歳で就職したのは運送業の会社。トラック運転手として、タンクローリーに乗ったり、箱車で県外に行くようなこともあった。「仕事柄、県外で食事をすることが多くなって、飲食店をやってみたいと思うようになったんです」と、意外にも石川さんが最初に目指したのは、お酒の飲めるような飲食店。でも、居酒屋やレストランなどに面接に受けに行くが、料理経験がないことで全部落ちてしまったという。

 そもそも県外の食事はラーメンを食べることが多く、いろいろなラーメンを知りだしたところ。「そうだ、ラーメン店で働こう」と、5、6年勤めた会社を辞め、新潟市で人気の横浜家系ラーメン店の門戸を叩く。修業が始まったのは2007年、25歳の時だった。料理経験もなく、包丁も触ったことがないところからのスタート。「覚えが悪くて、聞く言葉も全部わからないところを一から教えていただいて。3年半修業して独立しました」と、大変だった修業時代を語る。

新潟バイパス(国道7号)の竹尾I.C.から車で3分。新潟市東区に店を構えた

 修業先の師匠にも物件探しなど相談にのってもらいながら、2014年に『麺家 太威』をオープンした。当初は家系で学んだ豚骨醤油1本だけ。独立してから自分で違う味を作っていこうと、最初に取り掛かったのが新潟発祥の麻婆麺。「もともと好きだったのでよく食べていたんですけど、町中華だと清湯スープの上に麻婆がかかってる。豚骨スープしか知らなかったので、同じようにならない、どうしてだろうと悩みましたね。豚骨のほうが勝ってしまって、麻婆が合わなかったんです」。試行錯誤を続けて、納得するまで半年ほどかかったという。

 イベントにも積極的に参加するようになって、さらにメニュー開発にも力が入る。麻婆麺に続く、濃厚チーズ味噌担々麺、カレー担々麵、貝だし潮塩ラーメンなど人気メニューを生み出した。今までの新潟ラーメンにはない新しい味は、ラーメングランプリ2016、2017新潟1位、東京ラーメンショー2019 最優秀賞など数々のイベントで賞を獲得。「東横の安部さんにお誘いしてもらったり、加盟した新潟ラーメン協同組合の先輩方によくしていただいたおかげです」と、素晴らしい功績に慢心することなく、先輩方が築いたラーメン文化へのリスペクトと感謝の気持ちも忘れない。

開業後は、積極的に各地のイベントに参加

最愛の新潟ラーメンは? 今までにないバラエティあふれる新しい味

 まずは、「最愛の新潟ラーメン」を味わい尽くす 第1弾で提供したラーメンから、最初にできた「四川風麻婆麺」を紹介しよう。

「四川風麻婆麺」。辛さは1段階上げるごとに+10円で、最大5辛まで注文可能

 濃厚豚骨醤油スープをベースに、本格的な四川風の麻婆餡をたっぷりかけた人気のメニューだ。最初は豚骨の臭さのほうが勝ってしまったり、甘すぎてくどくなったりと、何度も試作を続けて、今の味になったそう。豚骨の重厚な旨味と麻婆餡が絶妙なバランスだ。

  自慢の麻婆麺と担々麺を融合させた「旨辛麻婆担々麺」は、今回の出店のメインメニュー。

「旨辛麻婆担々麺」。サイドメニューの新潟県産コシヒカリのご飯をつけて完食の旨さ!

 担々スープの上に麻婆豆腐餡がたっぷりとかけられ、熱々スープをすくうとチーズがとろり。麺を引き上げるスープがたっぷり絡んでくる。チーズと担々スープのまろやかさで、辛みもあるけど旨味あふれる仕上がりだ。「辛さが苦手な方にも美味しく食べていただけるように」と、食べ手の気持ちに寄り添った一杯でもある。

 続いて、東京ラーメンショー2019 最優秀賞を受賞した「極上淡麗貝だし潮ラーメン」。

「極上淡麗貝だし潮ラーメン」。新潟の藻塩、新潟屋台がルーツの細麺と新潟色満載の一杯

 「豚骨以外のあっさり系を作りたかった」という石川さん。新潟の最北端に、国の名勝および天然記念物に指定されている笹川流れという海岸がある。その名勝地の海水で作られる藻塩を使って、新たな新潟の塩ラーメンを生み出した。鶏ガラベースにホタテやアサリの貝だしに、角のない藻塩を合わせ、あふれる旨味がじんわり広がる。

新潟出身スーパーバイザーが新潟ラーメンを盛り上げる2軒を推薦!

 今回の「最愛の新潟ラーメン」を味わい尽くす。このテーマに、最適なスーパーバイザーが立ち上がった。新潟のご当地ラーメン文化を発信し続ける名店『我武者羅』の蓮沼司店主だ。

石川店主を支える『我武者羅』店主・蓮沼司さん

 新潟ラーメンのテーマに合わせて、蓮沼店主が推薦したのが『麺家 太威』と第2弾の『東横』だ。「もちろん、美味しいラーメン店、素晴らしい店はたくさんあります。その中で、イベントに数多く出店して慣れていること、そして一番信頼おけるところを推薦しました。どこに行っても安定して美味しいものを作ってるなって感心してましたね。二人とも真面目で何にでも真剣に向き合ってくれる。他のラーメン店も、この2軒なら申し分ないねって言ってくれる気がします」と蓮沼さん。

 ラーメンWalkerキッチンは店舗形式で、屋外イベントとは趣が違うと、これまでの店主たちもオペレーションでは苦労してきた。石川さんも勝手が違って戸惑いもあり、かなり緊張していた。そこに蓮沼さんが一緒に厨房に入って、石川さんをサポート。当初、細麺だけの提供だったところを、急遽、三河屋製麺を呼び、新潟の店舗と同じように太麺/細麺が選択可能になったのも蓮沼さんのアドバイスによるものだ。

 「やっぱり違うなぁと思いました。こうした方がいいっていう発想がすぐには出てこなくて」という石川さんに、「石川くんには、もっと新潟を感じてもらったほうがいいよ! 新潟のご当地らしさって味だけじゃなくて、接客や雰囲気にも出るから、言葉にものせて伝たていきたいよねって話したんです」。蓮沼さんの言葉に、石川さんも本来の自分を取り戻していった。

新潟の店舗さながら、いくつもの調理を同時にこなしていく石川店主

  あまりの人気に最終日を待たずに「極上淡麗貝だし潮ラーメン」が完売! 店でも提供していない「新潟生姜醤油ラーメン」を最終日に販売するという嬉しいサプライズもあった。「急なことで、最初はうまくいかなかったのですが、蓮沼さんにアドバイスをいただいて仕上げました」と石川さん。

蓮沼さん直伝の「新潟生姜醤油ラーメン」もあっという間に完売!

 いまや全国1位のラーメン県・新潟。新潟をもっとも愛するラーメン店主・蓮沼さんに、今回の出店と新潟ラーメンの今後を伺った。

 「新潟の人はラーメンが好きで3人集まったら『ラーメン行こう!』ってなっちゃうぐらい生活の中にラーメンがある。昔から新潟の人に愛されてきたご当地ラーメンもあり、新しいクリエイティブな新潟ラーメンもあり、全部ミックスして発展していけたらと思ってます。山形に勝った負けたじゃなくて、お互い隣り合う県同士、もっと業界全体が盛り上がっていく話になってくれればいい。ちゃんとしたものを作ってお客様を喜ばせて、いいものを残して行きたいですね」

 石川さんも「蓮沼さんをはじめ、先輩の皆さんの影響を受けて、ようやく僕もここまで来ました。いろんなことに挑戦しながら、新潟から今以上の新しいラーメンを出していけたらと思っています」と、意気込みを語った。先陣を切った『麺家 太威』のラーメンに、「辛いのに美味い!」「気づいたらどんどん啜って、箸も蓮華も止まらない」「言葉に言い表せないほど美味しかった」と、お客様の嬉しい声が。新潟ラーメンの美味しさを関東の皆さんにしっかり刻み、6日間を盛り上げてくれた。

石川店主と蓮沼店主のタッグで、スタッフもお客様もいつも以上に盛り上がった!

麺家 太威 [D・A・I]
新潟県新潟市東区牡丹山6-11-12
11:00~15:00 (Lo14:45)/17:00~21:30 (Lo21:00)
木曜休
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/menyadai)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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