DBに最適化された新たなストレージアーキテクチャを採用、分析クエリが「最大100倍高速」に
Google Cloudが発表、PostgreSQL互換の高速DBサービス「AlloyDB」とは
分析クエリを高速化する「カラム型キャッシュ」機能
AlloyDBのそのほかの特徴としては、高速な分析クエリを実現する「カラム型キャッシュ」機能や、AI/機械学習技術によるインテリジェントな高速化、Vertex AIとの連携などが挙げられる。
カラム型キャッシュ機能を有効にすると、AI/機械学習がワークロードの内容に基づいてキャッシュすべき行を自動選択し、さらに行形式/列形式の動的変換も行うようになる。これにより、列形式(カラム型)データを多用する分析クエリも大幅に高速化する。「行指向、列指向と複数レイヤーのキャッシュを活用することで、費用対効果の高いパフォーマンスが実現する」(江川氏)。
また前述のとおり、AlloyDBは複数のレプリカノードを展開できる仕組みのため、たとえば「プライマリノードでトランザクション処理を行いながら、レプリカノードではカラム型キャッシュを有効にしてデータを分析するといった使い方もできる。オンラインのトランザクションデータをすぐに分析したい、といったニーズに向いている」(寶野氏)と説明する。
Vertex AIとの連携では、Vertex AIで開発したモデルをSQLの関数で呼び出し、AlloyDB内で簡単に推論処理を実行できる。また、AI/機械学習技術はDBの運用管理面でも活用されており、ストレージの階層化、バキューム管理、メモリ管理などを自動化する。
事前評価した国内企業やパートナーからも高い評価
同社 データ・プラットフォーム 事業開発部長の大久保順氏は、AlloyDBを事前評価した国内の企業、パートナーの声を紹介した。
「各社のコメントにもあるとおり、AlloyDBはPostgreSQLとの互換性があるためアプリケーションの書き換えが不要であること、高い可用性やスケーラビリティを持つこと、トランザクション処理と分析クエリのハイブリッド処理に強みを持つこと、これらの点に対する評価が高く、期待を寄せていただいている」(大久保氏)
Google Cloudでは「Database Migration Service」において、Oracle DBからPostgreSQLへのスキーマ変換、データ移行を行う機能(プレビュー)を発表している。さらに今回、データベースのクラウド移行を包括的に支援する「データベース移行プログラム」も発表した。
後者には移行の計画/戦略の策定支援、評価ツールの提供、専門知識を持つパートナーとの連携、さらにマネージドDBサービスへの移行費用の一部負担などが盛り込まれている。
「オンプレミスのワークロード、他のクラウドで動いているワークロード、さらにGoogle Cloud上のコンピュートエンジン(GCE)で動かしているDBワークロードなどを、AlloyDBやCloud SQL、Cloud Spannerといった、Google Cloudのマネージドサービスへ移行することを促進するプログラムだ」(大久保氏)