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コントローラーがユーザー拠点のハードウェアの一元管理を実現

NTT Comの「SDPF Edge」はオンプレミスと同じ課題を解決できるか?

2022年01月19日 07時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2022年1月18日、NTTコミュニケーションズはデータ利活用プラットフォーム「Smart Data Platform(SDPF)」のエッジコンピューティングサービス「SDPF Edge」を発表した。オンプレミスでアプリケーションを実行できるIoT向けサービスとして提供され、管理や保守といったオンプレミスと同じ運用の課題を解消するという。

NTT ComのIoT戦略を説明したNTTコミュニケーションズ 5G・ IoT タスクフォース タスクフォース長 吉宮 秀幸氏

クラウドとの使い分け前提で、低遅延な処理を実現

 NTTコミュニケーションズは、企業に点在するデータを1つのプラットフォーム上に統合してDXに寄与する「Smart Data Platform」を展開しており、IoTに関する収集・蓄積・分析などの機能もマネージドサービスとして提供している。今回追加された「SDPF Edge」は、マネージドサービスとして提供されているIoTソリューションのうち、クラウドアプリケーションをオンプレミスで実行できるエッジコンピューティングのサービスとなる。

NTTコミュニケーションズのIoTソリューションとSDPF Edge

 クラウド事業者の潤沢なリソースを用いたクラウドコンピューティングに対して、エッジコンピューティングは、データを収集するエリアに物理的に近いネットワークにサーバーを分散配置するのが特徴。リアルタイム性を損なわない低遅延な処理を実現するほか、クラウドへのデータ転送量を減らせるため、コスト面でのメリットも大きい。また、クラウドに対して不安を持つユーザーにとってみれば、セキュリティという観点でも魅力的に見えるだろう。この数年、「AWS Outposts」や「Azure Stack Edge」などクラウド事業者のサービスとしても強化されている領域だ。

 エッジ事業は企業が利用するデータ量が増大し、自動運転や異常検知などリアルタイム処理のニーズが高まったことで、成長を続けているという。また、コロナ禍のパンデミックリスクを軽減すべく、セキュアな業務オペレーションをリモートで行なわなければならないという背景もある。

 エッジコンピューティングと従来のオンプレミスとの違いは、クラウドとの使い分けを前提にしていること。クラウドの先進性や柔軟性の恩恵を受けつつ、低遅延でセキュアな処理が必要な場合に、現場に近いエリアでデータ処理するのがエッジの役割だ。とはいえ、初期導入時の設定が大変だったり、端末が分散することで管理が煩雑になったり、トラブル時のサポートに不安があったり、導入や運用の障壁もある。オンプレミス回帰によって、クラウドで解消されたはずの管理や保守の課題がつねにつきまとうのも事実だ。

ハードウェア本体や保守運用まで月額定額で提供

 これに対して今回発表されたSDPF Edgeはクラウド上で展開されている各種のSDPFサービスをユーザー拠点のオンプレミスで、遅延なく実行することが可能になる。エッジアプリのカタログ化やバージョン管理、アプリケーション配信、監視などをSDPF Edgeコントローラーが一元的に行なうことで、保守を含めたエンドツーエンドでのサービス提供を実現する。ネットワークに関しても、ユーザー拠点とクラウドサービス、データセンターをセキュアにつなぐ閉域網接続サービス「Flexible InterConnect」も利用できる。

SDPF Edgeのサービス概要

 低遅延でのデータ処理やネットワークの効率的な利用といった一般的なエッジの利点に加えて、SDPF Edgeではサービス共通のハードウェア・ソフトウェア基盤を利用する点、ハードウェア本体や保守運用を月額定額で提供する点、エッジからネットワーク、クラウドまでのフルスタック提案が可能な点などのメリットがあるという。

 想定されるユースケースとしては、AIの学習をクラウドで行ない、IoTデバイスのデータを収集したエッジで推論や制御を実行するといったAIoTの用途が想定される。クラウド側でIoTデータを処理することで生じる遅延をなくし、同じネットワーク内で推論することでリアルタイムにAIを実行できるとのこと。また、監視カメラのデータをエッジ側で処理し、異常時の映像や推論結果のみをクラウド上に送るといったユースケースも想定している。

サービスの詳細について説明したNTTコミュニケーションズ データプラットフォームサービス部 担当課長 竹中 康博氏

 サービスはラック型2タイプ、ボックス型1タイプの計3種類のハードウェアラインナップを用意。料金はアプリケーションごとの月額利用料と、保守を含めたハードウェアの定額料金から構成される。

 なお、発表会の冒頭、広報部からは昨年末に発表されたNTTグループの再編に言及。NTTドコモの法人事業が移管されたNTTコミュニケーションズは、2022年1月より法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開するという。

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