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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第8回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 11月13日~11月19日分

中小企業の電子署名導入率は18%、経理デジタル化は他部門より早い、2022年のクラウドトレンド、ほか

2021年11月22日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(11月13日~11月19日)は、2022年の注目クラウドトレンド、中小企業における電子署名導入率、経理デジタル化の進捗、拡大するランサムウェア被害経験、ゲーマーのインターネット接続回線に対する意識のデータを紹介します。

■[クラウド][トレンド]2022年、クラウド分野で注目技術は分散クラウド、IaCなど(ガートナージャパン、11月18日)
・クラウドの新しい進化系「分散クラウド」
・クラウドのインフラはコードにより定義する「IaC」
・組織横断的な仕組み・組織「クラウドCoE(Center of Excellence)」を作る動き

 2022年に向け日本企業が注目すべきクラウドコンピューティング分野のトレンドとして、「次世代サービス・ファクトリー」「人・組織」「ビジネス/主権」の3分野で合計7種を発表。パブリッククラウドに加え、オンプレ、エッジなどすべての物理ロケーションも統合するクラウド「分散クラウド」、おなじみ「Kubernetes」、コードとしてのインフラストラクチャ「IaC」などに注目という。「クラウドの先行企業と取り組んでいない企業は知見と経験で10年以上の差が開いている」とアナリスト。

ガートナーが発表した2022年に注目すべきクラウドトレンド(出典:ガートナー・ジャパン)

■[仕事・働き方]中小企業の電子署名導入率は18%(スターティアホールディングス、11月16日)
・中小企業の電子署名サービス導入率は18.0%
・導入企業は「業務効率化」(22.4%)「業務負担の軽減」(21.8%)にメリット感じる
・導入していない理由は「契約書の枚数が少ない」(23.2%)「取引先が紙」(19.2%)

 スターティアホールディングスの子会社、C-designが電子署名の導入状況について行った調査。従業員300人以下の中小企業に勤務する1014人を対象に、9月に実施した。導入率は18%だが、導入していない企業の38%は「興味がある」と回答。導入していない理由は「契約書の枚数が少ない」「取引先が紙での締結を指定」「導入メリットがわからない」など。導入済みの企業は「業務効率化」「業務負担の軽減」をメリットに挙げた。

中小企業の電子署名の導入率は18%にとどまる(出典:スターティアホールディングス)

電子署名を導入しない理由(出典:スターティアホールディングス)

■[DX][経営]経理のデジタル化は50%が推進、ガバナンスより効率化重視(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル、11月18日)
・83%が請求・契約処理のデジタル化により海外取引が増加することを期待
・デジタル化の目的は利便性や効率化、ガバナンス・規制遵守は低い
・取引先選定でサステナビリティ重視するのは3割、海外と温度差

 年商4億円以上、海外拠点を有している/進出意欲のある日本企業の経営層を対象に、10月に実施した調査。経理・財務・会計のデジタル化の進捗は50%、デジタル化により海外取引が増える(83%)と期待していることがわかった。デジタル化の目的は「ペーパーレス化」(52.3%)など効率化が多く、「支店・海外拠点の粉食防止」(21.7%)などガバナンスは低かった。電子帳簿保存法を知らない経営層は48%いた。

経理のデジタル化率は他部門より高い(左)。期待する効果として83%が「海外との取引増加」を挙げた(右)(出典:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル)

■[セキュリティ]ランサムウェア攻撃に遭ったことがある組織は67%(フォーティネット、11月18日)
・ランサムウェアのインシデントは過去12ヶ月で約1100%増加
・ランサムウェアの被害に遭った経験がある組織は67%
・企業が不可欠と考える技術と実際に必要な技術の間にギャップあり

 フォーティネットがグローバルで445人に実施した調査をまとめた「2021年ランサムウェア調査レポート」より。67%がランサムウェアの被害に遭ったと回答、うち半数近くが複数回経験しているという。保護に不可欠なテクノロジーを聞いたところ「セキュアWebゲートウェイ」「VPN」「ネットワークアクセス制御」が上位3つに挙がったが、VPNよりもZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)が求められるという。フォーティネットでは、実際のネットワーク侵入阻止に最適な技術との間にギャップがあると指摘している。

ランサムウェア対策として不可欠と考える技術に「セキュアWebゲートウェイ」などが挙がったが、実際に有効な技術である「ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)」などは低い(出典:フォーティネット)

■[生活]ゲーマーは信頼性のあるインターネット接続を求めてISP乗り換えを検討する(シエナ、11月18日)
・ヘビーゲーマーの62%が「信頼性の高いインターネット接続のために別のISPを検討する」
・高速インターネットのための課金を厭わないヘビーゲーマーは50%
・日本のゲーマーの47%は「安定した信頼性の高いネットワークがゲーム体験に重要」

 シエナが行った「アジアのオンラインゲーミングに関する調査」より、日本の18歳以上の回答をまとめた。1日2時間以上ゲームをする「ヘビーゲーマー」、2時間以下の「ライトゲーマー」では、信頼性のために別のISPを検討する人がそれぞれ62%、26%。ヘビーゲーマーの50%が、より高速なインターネット接続のためには追加課金も惜しまないと述べた。シエナでは「ミリ秒単位の違いが勝敗を分けることから、ネットワーク側はエンドユーザーに近い次世代のメトロとエッジアーキテクチャが重要」とコメントしている。

ネットワークの信頼性が悪いのならISPを乗り換えるというヘビーゲーマー(左)とライトゲーマー(右)の比率(出典:シエナ)

高速なネットワーク接続により多くの料金を払うというヘビーゲーマーは50%(左)(出典:シエナ)

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