一般的にサーキット走行をメインとするレース参戦車両は公道で走行することはできません。ですが、公道走行が競技に含まれている場合は話は別。今回、そんな公道走行ができる現役の競技用マシンを徹底的にチェック! そして「誰でも運転できるのか?」ということも含めて、クルマ好きでMT車でもバリバリ運転すると評判のモデルの新唯(あらたゆい)さんにステアリングを握ってもらいました。そこには勝つためのノウハウだけでなく、私たちがクルマいじりをする上でのヒントが隠されていたのです。
トヨタがモータースポーツに投入した
スーパーウェポン「GRヤリス」
今回チェックしたマシンは、全日本ラリー選手権のJN6クラスに参戦する、ウェルパインモータースポーツのGRヤリスRS。元SKE48の梅本まどか選手がコドライバーを務め、ASCII.jpがメディアパートナーとしてサポートしているマシンです。ちなみに JN6クラスとは排気量1500cc以下のAT車と電気自動車、ハイブリッドカーのカテゴリで、全日本ラリー選手権の入門的クラス。GRヤリスRSのほか、ヤリス、ヴィッツ、NOTE e- POWERなどが覇を争っています。
その車両規定(レギュレーション)は、「JAF 登録車両で、車両規定に沿って改造・装備される安全装備の付加を含め、道路運送車両の保安基準に適合し、かつ車両重量及び前部座席以外のメーカーラインオフ時の諸元が変更されていないもの」というもの。カンタンに言えば、ナンバーが取れる車両にしなさい、ということ。では、ディーラーで買ってきた状態のままで戦っているのか? というと、そうではなく。定められた範囲内で、ラリーで戦う工夫が至るところに施されているのです。なお、素のGRヤリスRSの本体価格は265万円(税込)です。
まずはエクステリアから。フロントバンパーとリアバンパーは、カンタンに着脱できるようネジ止めへと変更。これはクラッシュ時の破損時はもちろんのこと、荒れたグラベルを走行した後、バンパーの中に詰まった泥などを取り除く作業を簡単にするためなのだそう。あわせてフロントバンパーの下には、ゴム製のリップスポイラーが取り付けられています。ちなみに、こちらウェルパインモータースポーツの通販サイトで販売しており、お値段9万4600円(税込)から。このマシン、実は私たちでもできる改造ばかりなのです。
リアに目を向けると、迫力ある大型のリヤウイングが目を惹きます! こちらはワールドラリーカー(WRカー)のヤリスが採用している形状を参考に、公道走行可能な形状にデザインした逸品。ウイング部分は二階建てですので、ダウンフォースが強力に発生します。ウェットカーボン製は61万500円(税込)から、FRP製は40万4800円(税込)からと、なかなかに高価ですが、GRヤリスに乗ったら絶対に取り付けたいと思うのは筆者だけではないハズ!
この手のウイングをつけて気になるのは3点。まずボディー側に加工する必要はあるのか? ということ。チーム代表に話を伺うと「純正のボルト穴と強力な接着剤で取り付けるため、ボディに穴をあける必要はありません」とのこと。次に「本当に車検は通るのか?」ということ。そもそも全日本ラリーが車検に通らないと出られない競技ですので、バッチリです。それでも心配な方は、下の写真をご覧ください。
後方視界ですが、2段ウィングの下側が空いており、その隙間から見ることになります。さすがにノーマルと比べると視野は狭いのですが、ルームミラー越しに後方を見ると、Honda S660と同程度といったところ。ランボルギーニなどと比べると格段に見やすく、車庫入れに不自由はしません。ハイマウントストップランプも付いていますから、保安基準に準じて後続車両にも優しい設計です。
天井にはコダワリのオシャレアイテムとして、ドライカーボン製のシャークフィンアンテナカバーが取り付けられています。純正のシャークフィンアンテナにかぶせて装着するもので、GRヤリスのほか、ヤリス、ヤリスクロスにも適合するとのこと。ちなみにお値段は1万6500円(税込)と比較的リーズナブル。天井にワンポイントのカーボンアイテム、大いにアリですね。エクステリアに関しては以上! GRヤリスRSは標準でオーバーフェンダーがついているので、もともと派手な1台なのですが、大型ウイングの装着程度でさらに迫力のある1台へと進化。はっきり申し上げて、すごく目立ちます。
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