ヘッドフォン祭のレポートで簡単に伝えたように、国内でも人気のiFi-Audioの新製品「micro iDSD Signature」が11月13日に発売された。価格は7万9000円(税別)だ。
はじめにmicro iDSDの位置付けから説明していく。ヘッドフォン祭のレポートでは「これは姉妹ブランドであるハイエンドのAMRというiFI Audioの母体の技術をうまく落とし込んでいるからだという」と簡単に紹介したが、それをもう少し詳しく解説してみよう。
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micro iDSD Signature
もともとiFi-Audioの母体はイギリスのAMR(Abbingdon Music Research)で、100万円を超えるような製品を扱うハイエンドブランドだった。これをコンシューマー向けで求めやすい価格にしたブランドが、iFi-Audioである。AMRが過去に手掛け、すでに開発コストを償却済みの技術を、活用できる点がiFi-Audioのメリットの一つだ。
しかし、単に低価格で提供するブランドではない。設立の背景には、ゆっくりと重いハイエンドブランドが、早くて軽いコンシューマーの流れに対応するための試行という意味もある。
その典型が、このmicro iDSDのラインナップだ。micro iDSDの別名は"Meaty Monster"で、中身がたっぷり詰まった怪物ポータブルヘッドホンアンプだ。その要求仕様は、iFi-Audioが「クラウドデザイン」と呼ぶ手法で実現した。フォーラムやSNSを通じて、ユーザーの声を集め、吸い上げたものだ。
micro iDSDシリーズは、バッテリー動作でDAC内蔵のヘッドホンアンプのトップモデルである。内蔵バッテリーで動作するが、ポータブルというよりも、デスクトップ向けに近い内容になっている。つまりバッテリーという、とてもクリーンで安定したDC電源で動作し、持ち運びが容易な、DAC内蔵ヘッドホンアンプと言えるだろう。
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その大きさはメリットでもある。micro iDSDでは、アップルのLightning-USBカメラアダプタ(CCK)を直接接続できる(後により小型のxDSDでも可能となった)。
オリジナルのmicro iDSDは2014年にリリースされ、そのアップグレード・バージョンとして「micro iDSD Black Label」が2017年にリリースされている。今回のmicro iDSD Signatureはそれに続くモデルとなる。
micro iDSD Signatureでは、回路設計において重要部分をさらに強化した。また、4.4mmPentacon出力端子を装備し、外観がスペースブルーの仕上げとなっている。まずこれらが大きな違いだ。
また、従来のmicro iDSDシリーズでは、デジタルオーディオ入力用USB端子からUSBバスパワーで充電してきたが、これが分離され、デジタルオーディオ入力用のUSB端子はデータ伝送専用となり、電力供給ポートとは切り離された。これにより、バスパワーによって、データ伝送の汚染を回避することができる。
ほかにも注目したい変化がある。いままでは底面に設けられていた「IEMatch」のスイッチが側面に移され、貼り付けオプションだったゴム脚も初めから備えられている。これにより、従来のように底面にアクセスすることはなくなった。
つまり、外で使うポータブル機器から、家のデスクトップに置きやすい形状に改良されたわけだ。これはコロナ禍がオーディオ製品に与えた影響としても捉えられる。細かいが、興味深い変化と言えるだろう。
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ヘッドフォン祭のキャプチャ
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