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短期導入できるセキュア接続サービス「Zscaler Private Access」のトランザクション急増

テレワーク急加速で1月以降の利用量は8倍に、ゼットスケーラー

2020年04月17日 07時00分更新

文● 谷崎朋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 セキュリティソリューションベンダーの米ゼットスケーラー(Zscaler)が2020年4月7日、ゼロトラストネットワークアクセスソリューション「Zscaler Private Access(ZPA)」に関するオンライン記者説明会を実施した。クラウドアプリケーションへのセキュアなリモートアクセス手段を提供するZPAでは、グローバルの日間トランザクション数が今年1月以降、およそ8倍に急増しているという。

「Zscaler Private Access(ZPA)」の利用量(で観測されたトラフィック数の増大

 米ZscalerでグローバルCISOを務めるスタン・ロウ(Stan Lowe)氏によると、新型コロナウイルス対策の一環として全世界的にテレワークへの移行が進む中で、「Zscaler Private Access」におけるグロバールの日間トランザクション数は今年1月以降、約8倍に激増したという(平常時は日間およそ930億トランザクション)。増加度合いを地域別に見ると、欧州が5倍、中国が12倍、韓国が6倍、そして日本が2倍となっている。

 ロウ氏は「テレワーク成功の鍵」について、「自宅で業務を行う従業員が、オフィスにいるときと同様の生産性を確保できるよう、遅延のないセキュアな通信環境を提供すること」だと述べる。

 テレワーク移行が緊急で進められる現在の状況下で、数日~1週間程度で導入可能なZPAへの引き合いは「日増しに伸びている」という。

 ZPAは、トラフィックをいったん自社データセンターやサーバー拠点に集約してから個々のWebサイトやアプリに転送する従来型のVPNとは異なり、ノートPCやスマートフォンといったクライアント端末とサイト/アプリの間のトラフィックをZscaler Cloudが仲介する形で、インターネット経由でセキュアに伝送するソリューションだ。

従来のVPNとZPAによるゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)の違い

 ロウ氏は、旧来のVPNではアプライアンスの導入や運用はもちろんのこと、現在のように利用量が急増した場合に業務生産性を落とさないための帯域管理も必要になり、「企業側の負担が大きい」と指摘する。  「ZPAの場合は、クライアント端末にZscaler Appを、パブリッククラウドや自社データセンターにコネクタ(仮想アプライアンス)をインストールし、Zscaler Cloudに接続するだけだ。リモートパケットキャプチャの機能でユーザーのテレメトリもリアルタイムに把握することができ、トラブルシューティングや可視化の能力も担保する。ゼロトラストネットワークを短期間で容易に構築できる」(ロウ氏)

ZPAのユーザー数を数万、数十万に拡大したいという顧客ニーズに対しても、数日~1週間程度で対応してきた実績があるという

 国内では、武田薬品工業が同社ソリューションを全社展開するほか、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)でも1万人の従業員がZPAを利用しているという。CTCでは当初、厚生労働省などが推奨する「テレワーク・デイ」への参加を目的に導入したが、好評を得たため横展開の検討が始まっていると、Zscaler 北アジア担当エリアディレクターのダレン・マッケレン氏は説明する。

※お詫びと訂正:掲載当初、伊藤忠テクノソリューションズを「伊藤忠」と誤って記載しておりました。お詫びのうえ訂正いたします。(2020年8月31日)

 最近でも、3月初旬に国内大手物流会社から「4月1日までに従業員6000人分をテレワーク移行したい」という相談があったという。最終的には4月1日を待たず、早期に本番稼働へと進み、現在は「ライセンスの追加購入が検討されている」とマッケレン氏は明かす。

 「新型コロナウイルス感染症は、テレワーク導入を迫るきっかけとなった。国内の多くの企業において、従業員の働き方は一変している。以前の働き方に戻ることもないかもしれない」(マッケレン氏)。今回の事案をきっかけとして、特にテレワーク移行が急加速している日本市場の動向を注視し、今後も柔軟な働き方の支援を続けていきたいと述べた。

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