ここ数年、インターネット動画で大きな人気を集めているのが、CGキャラクターを使って動画投稿・配信を行う「バーチャルYouTuber(VTuber)」。それぞれのVTuverのキャラクター設定や活動形態は多種多様だが、いずれも3Dモデルや2Dモデルを使って配信画面に姿を現しているのは共通している。
近年はVRを使ったコミュニケーションの流行も重なり、こうしたキャラクター(アバター)を自分でも自由に動かしてみたい、VTuverになってみたいといった需要が高まっているが、特にキャラクター(アバター)を用意する難しさから「導入のしきいが高そう」と敬遠している人もまだまだ多いだろう。しかし、流行に合わせて急速に環境が整備されつつあるため、現在はモデリングやイラストの心得がなくとも、オリジナルの3Dキャラクターを用意して配信画面で動かすのはそれほど難しくない。
この特集ではそんな初心者向けに、なるべく費用を抑えて配信画面に3Dキャラクターを登場させ、Webカメラに映した自分の動きに追従させてキャラクターを動かす、VTuberとしての基本的な環境を整備するための手法を紹介していこう。
最難関となるモデルの用意を「Vroid Studio」で解決する
先に述べた通り、VTuberを始めるにあたって最大の難関となるのは、自前の3Dモデルや2Dモデルの作成だろう。完全なオリジナルモデルを自分で作ろうと思うと、3Dであれば「Blender」や「Zbrush」などのモデリングソフトを使ったポリゴンモデリング、もしくはスカルプトの技術、キャラクターを動かすためのボーンの設定がほぼ必須となる。2Dキャラクターを使う場合でも、イラストを描く技術と「Live 2D」による変形パスの設定などが必要になるため、そういった下地がない場合、なかなか自分のイメージに近いキャラクターを生み出すのは難しいと言える。
「FaceRig」のようなWebカメラと連動するトラッキングソフトにはサンプルとなるキャラクターも用意されているため、そうした素材を使うこともできるし、事実そのように活動しているVTuberもいないわけではないが、「オリジナルキャラクターを使いたい」というユーザーが大多数だろう。また、最近ではモデリングの得意なユーザーが有償でモデリング代行を引き受けているため、それを利用してもいいのだが、自分のイメージを伝えるのが難しく、問題が起きた場合に自己解決が困難という課題が付きまとう。
「もっと楽をしたい」という場合におすすめなのが、pixivが無料で提供する3Dキャラクターメイカー「Vroid Studio」によるキャラクター作成だ。項目ごとにスライダーを調整するだけでモデルの身長や外観を調整できるため、イメージに近いキャラクターを作成しやすく、キャラクターイメージにおいて重要となりやすい髪型のデザインも非常に自由度が高い。何より、キャラクターには人型のボーンが自動で設定されているため、自分で細かく設定を操作する必要がないのが初心者にとって非常にありがたい点だ。
作成したキャラクターの改変がたやすいのも特徴のひとつ。多少イラストの心得があれば、テクスチャを調整することでより理想に近い外観に寄せられるし、モデリングソフトにインポートすることで、「Vroid Studio」上では難しい細かな外観の調整にも対応する。衣装はデフォルトでもいくつか用意されているが、少しモデリングを勉強すれば、自分でコスチュームを作ることも不可能ではない。
さらに、同じpixivが提供するマーケット「BOOTH」では、Vroidに関する個人製作の髪型やキャラクターデータ、コスチューム、テクスチャデータなどが配布・販売されており、これらを使ってキャラクターをカスタマイズできる。改変や商用利用は販売者によって制限されている場合があるものの、現在では3000点近くのアイテムが流通しているため、利用することでキャラクターの表現の幅がぐっと広がるわけだ。外部ソフトとの連携面も含め、VTuberとして使いやすい環境が整備されているため、入門用のモデリングには非常におすすめできる。
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