ひと昔前の自作PCでは「大型ビデオカードは買う前にPCケースに入るか確認せよ」が常識だった。PCケース内部のドライブベイやHDDに干渉することが多かったためだ。今でもその常識は存在するが、重要度はずっと低くなった。PCケース自体が最初から大型ビデオカード設置を想定しているものが多くなったからだ。
Mini-ITXなどの超小型PCを組みたい人向けに、各社様々なスタイルの小型ビデオカードを出している。そんなミドルクラス以上の強力なGPUを小型のカードに実装したショート基板モデルは、いまや独自のジャンルを構成していると言えよう。
今回紹介するASUSの「DUAL-RTX2070-O8G-MINI」は、GeForce RTX 2070を搭載しながら、全長197mm、2スロット厚のサイズに収めた“やや小ぶりな”ビデオカードだ。RTX 2070をMini-ITXマザーボード並みの小型基板に実装した製品は存在するし、2スロットでデュアルファンの製品も今では珍しくない。では、ASUSはなぜ今この製品を出しのか、不思議に思っている人もいるだろう。
それもそのはず。このDUAL-RTX2070-O8G-MINIは、IntelがCES 2020に合わせてひっそりと投入した小型ベアボーン「NUC 9 Extreme Kit(あるいはPro Kit)」への組み込みを想定したモデルで、その中で最大限の冷却性能を確保できるよう設計された最もバランスの良いビデオカードなのだ。もちろん、スペース制約の厳しいPCに組み込むためのビデオカードとしても、秀逸なポテンシャルを備えている。
原稿執筆時点ではNUC 9 Extreme/Pro Kitの入手は叶わなかったため、普通の自作PCに組み込んでのテストとなるが、このDUAL-RTX2070-O8G-MINIの魅力をお伝えしたいと思う。