今回のことば
「会社にこないで、家からお客様のところに直行していいといったら、会社に誰も来なくなり、頭を抱えて心配した。だが、無駄な会議が減り、顧客やパートナーと会う時間が増えた。そして、『平日の人生』を楽しめるようになった」(ヴイエムウェアのジョン・ロバートソン社長)
ヴイエムウェアが自らが持つソリューションを活用しながら、働き方改革に取り組んでいる。
なかでも、デジタルワークスペースを実現する「Workspace ONE」を活用し、セキュアな環境で情報を共有したり、業務アプリケーションを利用した承認ワークフローを実行したり、といったモバイル環境での利用を促進しているのが特徴だ。
ヴイエムウェアのジョン・ロバートソン社長は、ゴルフのスイングの振りをしながら、「ショットのあとにスマホで承認作業ができる」とジョークを交えながらWorkspace ONEの特徴を紹介。「これまでのヴイエムウェアの製品は、インフラ担当者だけが知っている製品だったが、Workspace ONEは簡単に直感的に利用できることから、60歳代の経営トップでも現場の一般社員でも、その良さを理解できる」とする。
ヴイエムウェア社内ではWorkspace ONEを活用によって、モバイルネイティブアプリが広く浸透。従来はPCを開いてクラウドにアクセスし、承認していた作業や、外出先では喫茶店に入ってPCを起動させなくてはならなかった作業が、スマホを通じて移動中でも立ったままでできるようになったという。
「モバイルファーストというよりも、モバイルオンリーともいえる状況が生まれている」という声が社内からあがる。
コンシューマ向けアプリで利用されているような、簡単で直感的に利用できる使い慣れたインターフェースがセキュアな環境で利用されるようになったことで、モバイルアプリがビジネスシーンで利用される例が増えている。が、すでにヴイエムウェアはこれらのアプリを標準的に利用している。
「直感的な操作で利用できるeメールアプリのVMware Boxerをはじめ、スマホには数々のアプリが入っているが、社長の私でもアクセスできないアプリがある。Workspace ONEでは、こうしたアクセスコントロールにも長けている」とする。
最近では、こうしたヴイエムウェアの社内実践を聞きつけた顧客やパートナーが、東京・浜松町の同社オフィスを見学するケースが増えているという。本社オフィスそのものがショールーム化しているというわけだ。
「3年前には、セキュリティー問題が解決できないから、モバイルでの利用はダメと一方的に言っていた企業が最近では、モバイルをやらなくてはダメだと言い始めている」と、ロバートソン社長は笑う。
ワークライフバランスは「平日の人生」を楽しめるようにする
日本語が堪能なロバートソン社長がヴイエムウェアの働き方改革に取り組んだのは、社長に就任した3年前のことだ。
「シンガポールから日本に戻り、ヴイエムウェアの社長に就任した際に感じたのは、残業が多いということ。また、会議が多いことも感じた。自らが、MDMソリューションを持っているのに、旧時代の働き方をしている。そこで、自社製品を活用し、働き方改革を行ない、火曜日から金曜日までは、会社にこなくていいから、お客様のところに行き、直接、家に帰ればいいことにした」という。
だが、その一方でこんなことも語る。
「誰も会社に来なくなり、出社すると、今日は休日かと思うほどの状況になった。最初は頭を抱えていまい、こんなことをしてしまって大丈夫だったのかと心配した」
しかし、この3年間の成果は上々だった。
「無駄な会議が減り、効率化ができ、顧客やパートナーと会う時間が増えた」と、ロバートソン社長は語る。
同社では、具体的な成果を数値としては公表していないが、「働く時間は確実に減っているし、顧客やパートナーへの訪問件数も増えている。そして、仕事の質も高まっている。実際、この3年間で、日本におけるビジネス規模は2倍に拡大した」とする。
そして、ロバートソン社長が強調するのが、「『平日の人生』を楽しめるようになったこと」だ。
「朝から満員電車に乗って出社したのちに、お客様のところに出向き、会社に戻ったらそのレポートを書き、遅い時間まで残業して、さらに一杯飲んで帰ると、一日が終わってしまう。朝は家でリモートワークをして、家から最短距離でお客様のところに行き、レポートもリモートワークで行えば、平日にも時間の余裕が生まれる。『平日の人生』という考え方ができるようになる」とする。
ワークライフバランスの改善により、平日に映画を見たり、家族と過ごす時間を増やしたりといったことが可能になり、人生を楽しむことができるというわけだ。
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