日本無線は12月9日、世界ではじめてMIMO方式を取り入れた船舶用レーダーを開発したと発表した。
一定以上の船舶にはレーダーの搭載が義務付けられており、近年では素子の長寿命化や周波数利用の効率向上のため発信素子に従来のマグネトロン管ではなく固体素子が普及しつつある。しかし固体素子レーダーは送信電力が少ないため、探知距離を確保するには送信時間が長くなり、周辺のレーダーに干渉しやすいという問題があった。
新たに開発されたレーダーは、MIMO(Multi Input Multi Output:送受信素子を複数用いる電子走査式レーダー)と信号処理技術を組み合わせ、周囲の電波環境に応じて送信タイミングや干渉除去フィルターなどのパラメーターを自動的に最適化して干渉を除去する。既存レーダーと同等以上の性能(探知距離や分解能)を実現しつつ、複雑な操作を不要としている。
総務省が進める「電波資源拡大のための研究開発」の委託を受けて開発されたもの。ワイヤレスブロードバンドの普及に伴い電波利用状態はとくに6GHz以下の帯域で過密化が進んでおり、周波数の有効利用や共同利用ためにさまざまな分野で研究開発が進められている。