米Microsoftが今年7月に米ワシントンDCで開催したWorldwide Partner Conference(WPC)において、同社COOのKevin Turner氏がHPの100ドルタブレットと200ドルノートPCを2014年中に出荷すると発表して話題になったが、米国におけるWindowsタブレットのターゲットプライスはすでに100ドルを下回る水準となっているようだ。
PCメーカー各社は7〜8インチサイズのWindowsタブレットを100ドル(約1万2115円)水準で販売しているほか、11月最終金曜日にBlack Fridayの名称でスタートしたホリデーシーズン商戦では、それをさらに下回る59.99ドル(約7268円)の「60ドルWindowsタブレット」までもが登場している。
「もはやメーカー側も利益がほとんど出ていないだろう」という価格水準だが、こうした安売りが来年2015年には終了するというアナリストの見解もあり、毎年落ち続けてきたタブレット製品の販売価格動向に注目が集まっている。
年末商戦に登場した60ドルのWindowsタブレットとは
今回話題になっているのは、家電販売店のMicro Centerが自社ブランドとして出している「WinBook TW700」(TW70CA17)という7インチのWindows 8.1タブレットだ。ホリデーシーズン向けに30ドルの割り引きがかかっており、本来89.99ドル(約1万902円、税別)なものが59.99ドル(約7268円、税別)となっている。「AVAILABLE FOR IN-STORE PICKUP ONLY.」ということで実店舗での受け取りが条件となるが、「わずか60ドルでWindowsタブレットが買えるのか」という驚きが大きい(Micro Centerの店舗数が少ないという問題はある)。
WinBook TW700のスペックをみていくと、1280×800ピクセルのIPSパネルのタッチスクリーンに、Intelの1.33GHz駆動クァッドコアプロセッサのAtom Z3735G(BayTrail-T)を搭載し、1GBのメモリと16GBのフラッシュメモリとなっている。最大64GBに拡張可能なmicroSDスロットやUSB 2.0ポート、HDMIポートが用意されている。
正直なところ、Windowsタブレットとしてはミニマム構成に近く、フル機能でバリバリ活用したいというユーザーには厳しいはずだが、iPadやAndroidタブレットでは再生できないFlashコンテンツのほか、Windowsのソフトウェアも当然サポートしている。「値段相応」と考えれば、決して悪い選択肢ではない。
WinBook TW700の60ドルは極端な例だが、今年のホリデーシーズン商戦は100ドルを下回るWindowsタブレットが各社から出揃い、これが目玉のひとつとなっている。Computerworldが特集を組んで紹介しているが、先ほども冒頭で話題に出したHPのStream 7、東芝のEncore Mini、E-FUNの8インチNextbookなどがラインナップされている。
これより上位モデルの小型Windowsタブレットの価格レンジは200ドル〜300ドル程度となっているが、その差異は高画質カメラや高解像度ディスプレー採用などによる部分が大きく、これら機能を犠牲にすればそこまで100ドルタブレットとのスペック的な差異はないというのが見解だ。
つまり、贅沢さえいわなければ1万円とちょっとでWindowsタブレットが買えてしまうのが現在の米国だ。