東京工業大学と旭硝子の共同研究グループは12月2日、ゴムのように伸び縮みする酸化物ガラスの作成に成功したと発表した。
有機ゴムなどの弾性を持つ物質ではその直鎖分子構造が伸縮して形状変化して弾性回復する。研究グループは、ゴムと同じような直鎖構造を持つアルカリメタリン酸塩ガラス「Li0.25Na0.25K0.25Cs0.25PO3」を高温で引き伸ばして直鎖を配列させた。室温に戻した後、再度加熱した際、元の不規則な配列に戻るというゴムのような特性があることを発見した。
収縮時には吸熱も確認され、収縮前後では体積はほとんど変わらない(伸びた時に直径が細くなる)などゴムの伸び縮みであるエントロピー弾性とで同じ現象であり、その伸縮率は最大35%という。
これらの挙動はガラス転移点付近(ガラスが熱で柔らかくなる温度、この場合は230度前後)で見られるものなので、自在に曲がる液晶ガラスを可能となるわけではない。もっとも、スマホの液晶保護ガラスでお馴染みの高強度ガラスなどは弾性の異なる応力層を持たせることで強度を高めており、いずれ新しい原理に基づくガラス製品に利用できる可能性を持つ。研究グループでは、ゴムでは耐えられない高温下や化学条件下で動作でゴムのよう伸縮する必要がある部品への応用が可能とし、この研究を契機により優れたゴム状ガラスの実現を期待するとしている。