「近未来のオフィス空間は、フェイスツーフェイスによる創造的なコミュニケーションがいたるところで生まれるよう仕組まれた場になる」というコンセプトのもと、新奇なアイデアがたくさん生まれる場を演出する会議室とは?
ブレインストーミングで強力な「空気を読めるコンピュータ」
11月10日、日本ユニシスとイトーキは近未来オフィス空間の構築を目的として、共創的コミュニケーションを支援する仕組みの共同研究「近未来オフィスU&I空間プロジェクト」を開始した。共同研究では、日本ユニシスの人工知能(AI:Artificial Intelligence)とイトーキの最先端ワークスタイル・デザインを融合するオフィスコンセプトを打ち出している。コミュニケーションを強化するオフィスとして、コンピュータが第3の参加者として会議を有意義なものに進めてくれる会議室と、未来のオフィススタイルを写真で紹介していく。
日本ユニシスと電通とで4年前からゲームサイト「人間のように空気が読めるコンピュータ」(http://omcs.jp/)を公開して、80万件の知識を集めてきた。たとえば、「ケーキ」という言葉だけでは1件の知識にならず、「ケーキ」を「焼く」というように他の言葉とつなげて意味を持たせ、その言葉がどういうものかが分かる2つの言葉を一つの知識としてカウントする。日本ユニシスでは、自ら学習するコンピュータを作るために、背景知識や感覚を「コモンセンス」として、人工知能のデータベースに加えてゆくという、マサチューセッツ工科大学(MIT)で行なわれている試み「OPEN MIND COMMON SENSE」と協力して「人間のように空気が読めるコンピュータ」プロジェクトを進めてきた。
この研究に携わる日本ユニシス総合技術研究所の山田繁夫さんは、「AI会議室は、ゲームサイト『人間のように空気が読めるコンピュータ』で集めた80万の知識を活用して、第三の参加者として会議をアクセラレートしていきます。会議を一つの方向に向けていく合意目的と、発散思考に向けていくブレインストーミング目的の2つの利用方法が考えられますが、合意方向の会議よりクリエイティブ性を求められるブレインストーミングでより力を発揮するでしょう」と語った。会議室でのやりとりを音声認識し、自然言語処理を通して、語られた言葉をログをとり、クラウドにその言葉の傾向を学習させていく仕組みだ。
会議の司会進行もやってくれる「アンビエントファシリテイター」
次に紹介するのは、会議室自身がファシリテイターとして、会議をドライブしていく「アンビエントファシリテイター」だ。さきほどの空気を読むコンピュータが執事だとすれば、こちらは司会者だ。センサーで参加者の姿勢や発言頻度から、状況に応じて、発言数の少ない参加者に発言を促し、より高いアウトプットに導いてくれるという。香川大学の市野順子准教授の研究を元に開発された。
SF映画の主人公になった気分になれる空中ディスプレイ
こちらは空中に文字列を照射でき、操作者からしか見れない空中ディスプレイで、さながらSF映画の登場人物になった気分が味わえる。、3D写真でお伝えできないのが残念だが、傍聴者には見えないので、プレゼンテーションのカンニングペーパー役にも適している。実際に空中のボタンをタッチでき、ディスプレイの映像を切り替えたりの操作もできる。空中ディスプレイ、モニター、反射プレート、指の動きをとれるセンサー、タッチパネル、サーバーで構成されている。
ここまで、コンピュータを使った近未来的なオフィスを紹介したが、ここからは、イトーキの最先端ワークスタイル未来のオフィススタイルを写真でレポートしていく。
筆者紹介:河内典子(こうちのりこ)
サラリーマンとして編集ライターを20年弱していたが、この秋からフリーランスに。アプリ制作者を応援するような記事が得意。子育てや子ども向けプログラミング教育にも興味がある。前職では「おばかアプリ選手権」の発起人として並々ならぬ情熱を注いできた。フリーランスでもできる面白いアプリ選手権イベントの運営をしたがっているので、コラボしてくださる企業さま、お気軽にご連絡ください。