就職、転職、投資など、気になる会社がどのくらい強いのか、財務諸表から読み取るためのノウハウを紹介する書籍『「強い会社」はセグメント情報で見抜きなさい 「ソニーは金融業」「TBSは不動産業」――財務諸表で読み解く各社のプラチナ事業』(長谷川正人 著)が11月7日、アスキー・メディアワークスから発売されます。Amazon.co.jpほかネット書店、全国の大型書店で購入できます。
「セグメント情報」で読み解く会社の強さ
財務諸表を読め、とはよく言われる話です。しかし、売上高や営業利益、時価総額やROEといった指標は誰でも参考にしますから、就職や転職、投資で、ライバルに差がつく材料にはなりません。とはいえ、細かな分析には専門知識や経験が必要です。そこで本書が提案するのが「セグメント情報」。セグメント情報とは、事業別や地域別に集計された売上高や営業利益などの指標のこと。メディアは全体を報じますが、事業別に企業を取りあげることは滅多にありません。企業の本当の姿を知るのに、セグメント情報ほど適した指標はないのです。
セグメント情報を見ると、有名企業の意外な実態が見えてきます。例えばエレクトロニクス企業に見えるソニーは実際は金融業で成り立っています。テレビ局に見えるTBSは不動産会社といってもいいくらいです。また、ライバル視されることが多いアマゾンと楽天は、セグメント情報から読み解くとまったく別業界の企業であることも分かります。
書名の「強い会社」は、就職や転職、投資など、「会社を選ぶ」機会の価値観を凝縮しました。企業を選ぶときはセグメント情報に注目しましょう。
「強い会社」はセグメント情報で見抜きなさい
「ソニーは金融業」「TBSは不動産業」――財務諸表で読み解く各社のプラチナ事業
長谷川正人 著
- 定価:1,728円(本体1,600円)
- 発売日:2014年11月7日
- 形態:B6変型 (258ページ)
- ISBN:978-4-04-866371-7
- 発行:アスキー・メディアワークス
- 発売:角川グループパブリッシング
目次
- はじめに
- はじめに
- 第1章 アップル×マイクロソフト
- 「普通の会社になりつつある」は誤解 世界トップクラスの業績を依然維持
- アップルとマイクロソフトを比較する視点
- アップル
- ジョブズ死去後の光景/四半期決算でなく通期決算で推移を見る意味
- 売上成長は1ケタに減速/営業利益率、ROEとも30%の高水準
- わずか4種の製品をそれぞれ数千万台販売/ピークは2012年9月期
- ジョブズの死去と株価・時価総額ピーク/アイフォーン、アイパッドの販売単価下落が続く
- アップルは「普通の会社」ではない/日本、中国の最大手でアイフォーンの取り扱い開始
- 大変なキャッシュリッチ企業/17年ぶりの配当と自社株買いの重要な意味
- マイクロソフト
- 「環境変化に対応できなくなりつつある」のか?/評判に反して業績は依然順調継続
- オフィスとウィンドウズで利益の全てを稼ぐ/セグメントの強弱が明確
- 二枚看板の今後にも懸念/キャッシュリッチぶりはアップルと同じ
- アップル、マイクロソフトの比較・共通点まとめ
- 第2章 グーグル×フェイスブック
- サービスは無料でも広告収入で営業利益率30%
- グーグルとフェイスブックを比較する視点
- なぜ無料なのにもうかるのか/両社の企業理念
- グーグル
- 無料なのに高収益/売上高の84.5%は広告/モトローラの買収と売却
- 利益率は高水準ながら競争激化で漸減傾向/強固でキャッシュリッチな財務体質
- フェイスブック
- 利用者数12億人は世界人口の18%/「モバイルユーザー数」が注目指標
- フェイスブックの広告配信/利益は変動が大きく安定しない
- 高い自己資本比率、キャッシュリッチはグーグルと共通
- グーグル、フェイスブックの比較・共通点まとめ
- PBRはフェイスブックがグーグルの2倍以上
- 第3章 アマゾン×楽天
- ビジネスモデルが異なるので数字の単純な比較は無意味
- アマゾンと楽天を比較する視点
- アマゾンと楽天は同業か?/小売業としての規模はアマゾンが楽天の4倍余り
- 購買意欲を刺激する施策 両社の共通点と相違点/比較分析の際に気を付けるべきこと
- アマゾン
- 高成長でも拍子抜けするほどの低収益/本・DVDの構成比が低下
- 世界各国に進出を続ける/総資産に占める有形固定資産が3割近くまで上昇
- 楽天
- 順調に成長する売上/「売上」と「流通総額」の違い/楽天の利益はセグメント情報ごとに見る
- Eコマースと金融がほぼ同じ利益貢献/利益の半分を食いつぶす海外、電子書籍事業
- 楽天証券が金融の中で稼ぎ頭に/総資産の7割が金融事業に関わる資産
- 楽天の自己資本比率が低い理由
- アマゾン、楽天の比較・共通点まとめ
- 同業のように見えるが、財務データで共通点はほとんどなし/株式市場での評価はアマゾンが高い
- 第4章 ソニー×オリンパス
- デジタル機器はずっと赤字 利益の大半は生命保険と内視鏡
- ソニーとオリンパスを比較する視点
- ソニー
- 低迷を続けるソニーの業績/事業別セグメントと商品・サービスの関係/エレクトロニクス事業は赤字継続
- エレクトロニクス事業以外の利益/ソニー生命を中心とする金融が圧倒的な利益貢献
- オリンパス
- 存亡の危機を招いた粉飾決算事件/内視鏡が売上の過半に
- 内視鏡事業の圧倒的な利益/ソニーの500億円出資で債務超過寸前の危機を回避
- ソニー、オリンパスの比較・共通点まとめ
- 第5章 サッポロ×TBS
- 本業不振、利益を稼ぐのは不動産
- サッポロとTBSを比較する視点
- サッポロ
- 本業の国内ビールは低収益/恵比寿ガーデンプレイスが圧倒的な利益貢献
- 恵比寿ガーデンプレイス以外の不動産物件
- TBS
- TBSの主要番組と視聴率/放送事業は低収益、赤坂サカスが圧倒的な利益貢献
- サッポロ、TBSの比較・共通点まとめ
- 第6章 三菱自動車×ユニ・チャーム
- パジェロと紙オムツが日本を飛び出しアジアで稼ぐ
- 三菱自動車とユニ・チャームを比較する視点
- 三菱自動車
- リコール隠しで存亡の危機/財務的にはリハビリ完了/事件前に比べ規模は著しく縮小
- 日本はほとんど利益貢献なし、北米・欧州も赤字/「アジア・その他」で他地域の赤字を帳消し
- 国別販売台数ではタイが日本を抜いてトップに/タイで売れる車種、日本で売れる車種
- アジアだけで稼ぐ構図からの脱却が求められる
- ユニ・チャーム
- 不織布技術を多分野、アジアに展開して成長/高収益のまま増収・増益続く
- 三つの事業別セグメントのうち「パーソナルケア」が売上85%
- 中国はじめアジアで稼ぐ姿が明確に
- 三菱自動車、ユニ・チャームの比較・共通点まとめ
- ここ10年で収益源をアジアへシフト/時価総額、PBRの比較
- 第7章 JR東海×オリエンタルランド
- 新幹線も東京ディズニーリゾートも有形固定資産が8割を占める設備産業
- JR東海とオリエンタルランドを比較する視点
- JR東海
- 日本の大動脈、東海道新幹線/変動が少ない鉄道事業
- 東海道新幹線は運輸事業売上の9割占める/新幹線で稼ぐキャッシュを設備投資、利払いに充てる
- 総資産の9割近くが有形固定資産
- オリエンタルランド
- 開業30年で入園者が年間3000万人突破、延べ6億人に/業績は順調
- テーマパーク事業は売上、営業利益の8割以上を稼ぐ/自己資本比率も60%台の高さ
- 東京ディズニーシー投資前後のキャッシュフロー/総資産に占める有形固定資産は7割
- JR東海、オリエンタルランドの比較・共通点まとめ
- 時価総額、PBRの比較
- 第8章 ドコモ×セブン-イレブン
- 4兆円の売上を身近な数字に分解
- ドコモとセブン-イレブンを取り上げる視点
- 売上=客数×客単価
- ドコモ
- ARPUから売上を導く/実データで確認
- セブン-イレブン
- イメージしやすい客単価から推測/実データで確認
- ドコモ、セブン-イレブンのまとめ
- ドコモ、セブン-イレブンの共通点
- 第9章 三菱東京UFJ銀行×日本生命
- 金融機関の財務諸表もコツをつかめば実は簡単
- 三菱東京UFJ銀行と日本生命を取り上げる視点
- 銀行、生保のトップ企業を比較
- 三菱東京UFJ銀行
- 4行が合併して生まれたメガバンク/銀行のバランスシート構造
- 貸出金と有価証券からの利息が収入源/三菱東京UFJ銀行のまとめ
- 日本生命
- バランスシートの構造/保険料と資産運用が収入源/日本生命のまとめ
- 三菱東京UFJ銀行、日本生命のまとめ
- 金融ビジネスの数字のクセを知る
- 第10章 誰でも経営分析ができるコツ
- セグメント情報がかつてに比べ重要になっている理由/必要な情報源は四つだけ
- IRコーナーだけに頼らない/セグメント情報の名称と商品を対応させる
- 日本企業は通期決算時の情報が豊富/メディア情報で補足
- 自分自身で体験しないと財務データが理解しにくい
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「強い会社」はセグメント情報で見抜きなさい 「ソニーは金融業」「TBSは不動産業」――財務諸表で読み解く各社のプラチナ事業長谷川正人(著)KADOKAWA/アスキー・メディアワークス