このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第45回

人工知能はいつ世界征服をするのか?

2014年07月11日 09時00分更新

文● 前田知洋

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Photo:Raysonho (CC BY 3.0)

 いつのまにか、湘南ビーチFMのニュースが人間の朗読から人工音声に変わっておりました。フレーズによってはたどたどしいイントネーションもありますが、ラジオで人工音声を聞く度に、21世紀っぽさを実感してます。

 合成音声技術を提供している株式会社AIのサイトでは、自分の打ち込んだテキストを11のキャラクターが音声合成してくれます。ちなみにビーチFMのニュースで使われている声色は「せいじ」さん。

好きなテキストを入力して合成音声を聞くことができる。かなり自然な音声

 AppleのSiriもそうですが、こんなふうにコンピュータが話す時代になってくると、コンピュータが知能を持ち始めるって気がしてくるのは筆者だけではないはず。いわゆる人工知能(AI)。しかし、ちまたで使われている人工知能って、一般的に期待されている人工知能とちょっと違います。

Amazonのおススメ商品とは

 いつもお世話になっているAmazonですが、しばらく前にこんなおススメ商品のメールをもらいました。

上記商品はもう完売しているので、ステマじゃありません(笑)

 もちろん、担当の人が手作業でおススメ商品のメールを配信しているわけではないので、何らかのアルゴリズムで選定しているのでしょうが、あまりにも直球勝負です(笑)。他の人に薦めてくれたらありがたかったのですが…。自分の商品を自分で検索するようなエゴサーチした記憶はまったくないので、さっぱり原因がわかりません。他にも、デジカメ用のSDカードを買って、スポーツ用の膝パッドを買ったら、なぜか高齢者だと判断されたらしく、介護用品を薦められたこともありました。映画『ターミネーター』や『マトリックス』に登場するような、人類に宣戦布告しちゃうような人工知能って、遥かに遠い未来の話で、まだまだ無理な気が…。

人工知能には、弱い人工知能と強い人工知能がある

 じつは、人工知能の業界では2つのタイプの人工知能があります。呼び方が紛らわしいのですが、「弱い人工知能」と「強い人工知能」。一般的に想像されている、コンピュータが知能や意思を持って、自ら考えるのは「強い人工知能」。でも、現在研究されているのは「弱い人工知能」がほとんどです。たとえば、「弱い人工知能」とは、「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした」なんてキーボードで打って変換すると「貴社の記者が汽車で帰社した」と単語などを推測してくれること。他にも、ユーザーなにを利用したのかを記録していて、それを第一候補に出す機能などもあります。「学習機能」なんて名前もついていますが、本来の「新しい知識の獲得」とか「新しい習慣が形成される」とはちょっと違うんですよね。筆者もそうでしたが、エンジニアはちょっと風呂敷を広げ過ぎなところがあります。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ