2007年に設立されたAtrust Computer(エートラストコンピューター 以下、Atrust)はシンクライアント端末を手がける台湾のベンダー。Atrust CTOのHT Cho(卓火土)氏に製品概要とシンクライアントベンダーを立ち上げた理由を聞いた。
自社設計・自社開発にこだわった端末
VDI(Virtual Desktop Infrastructure)の普及と共に昨今ますます注目を集めているシンクライアント。最近では、VDIを前提にネットワーク接続や画面描画に特化したゼロクライアントもメジャーになり、より一層の小型化や省電力化も求められている。こうした中、VDIのインテグレーションで高い実績を誇るアセンテックをディストリビューター契約を結んで、シンクライアント製品の国内展開を図ろうとしているのが、台湾のAtrustだ。
Atrustが展開するのは、モニター一体型、ノートPC型、デスクトップ型の3つの種類のシンクライアントのほか、VDIシステム構築で用いられるミニサーバーも扱っている。もちろん、シトリックス、マイクロソフト、ヴイエムウェアなどとパートナーシップを組んでおり、幅広いVDI環境で用いることができる。また、サーバーなどをまとめてソリューション販売するHPやデルと異なり、特定のベンダーに依存しないのも魅力だという。
PCは機械としては短命
Atrust CEOであるHT Cho氏は、こえらAtrustのシンクライアントについて、「HPやデル以外の第3の選択肢を提供する。サイズが小さく、最新のプロセッサーを搭載するので、性能も高い」とアピールする。また、台湾での自社設計・自社開発にこだわっており、品質やサポートの面で高い実力を持っている。セットアップやデバイス管理のツールも自社開発しており、日本語化も完了している。今回、アセンテックが販売に至ったのも、こうした開発力とサポート力を評価した結果だという
実はHT Cho氏は、スマートフォンメーカーとして知られるHTCの創業者でもある。1997年にHTCを共同創業者と立ち上げ、2005年に退任。「その後は学校の人材教育に携わったあと、2007年にAtrustを立ち上げた」(Cho氏)という。
華やかなB2Cから、ある意味で地味なB2Bの世界へなぜ転身したのか? Cho氏は「教育現場で数多くのPCが破棄されたのを見てきたが、やはりPCは機械として短命だ。30年前には、ターミナルの開発を携わっていたこともあり、シンクライアントが正しいソリューションだと思った」と語る。サーバーにOSやアプリケーションをホストし、極限までシンプルに設計したシンクライアント端末から利用するというのは、サステイナブル(持続性のある)利用形態というのが持論だ。また、第3の選択肢となるべく、Atrust製品は価格面でも競争力を持たせた。「従来のシンクライアントは高かったので、値段を下げる必要があると考えた」(Cho氏)とのことでリーズナブルさも売りになっている。
今後はクアッドコア化されたARMの新チップを搭載するモデルを投入。ビジネス面でも、シンクライアント自体にフォーカスしていくという。