ハードウェアの発表がなくてもよくわかる、Appleの新OSに学ぶビジネスのヒント
2014年06月27日 09時00分更新
AppleのWWDC(世界開発者会議)、開催から少し時間が経ってしまった感がありますが、「新しいiPhoneがぁー!」「iWatchがぁー!」と、お嘆きの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、発表から時間が経ったからこそ考察できることがあると筆者は思っております。
毎回、筆者が開発者でもないのにかかわらず、リアルタイムでWWDCを見るのは、Appleがビジョナリストとして優れているから。特に今回はハードの発表がなかったことで「どっちに行くのか?」が、とても理解しやすい基調講演でもありました。
このポイント、「どっちに行くのか?」は誤解されがちです。じつは「どこに行くのか?」より「誰が、どこに行くのか?」の方が、じつは大事。もちろん、今回は「誰が」に「Appleが」というワードが入るわけです。
そこで今回は、WWDCの基調講演で発表された新しいOSXやiOS8の新機能を通して、「誰が」の部分をコッソリと「自分が」に置き換え(笑)、新しいビジネスのヒントを考察していきます。
「集約と連携」Smart Home、Health
新しく発表されたSmart Homeは、iPhoneを携帯して家に入るだけで、照明やエアコン、テレビなどの家電製品をコントロール。Healthは、ナイキのFuelBandなどのウエアラブル活動センサのデータを管理できる新機能です。
スティーブ・ジョブズが2001年に提唱した「デジタルハブ」という戦略が、これからも拡張され、継続していくことがわかります。このところ停滞してる日本の家電メーカーをみると、誰よりも先にせっかく良いところに目を付けたにも関わらず、途中で撤退し、みすみすチャンスを逃してしまうことが多くあります。
戦略を継続し続けるといっても、Appleは、勝手なファイル形式だとか、全部自社でやってしまおうせずに、サードパーティに任せる。「モチはモチ屋に」は日本の格言なんですが、そのあたりのバランス感覚が優れています。アプリは開発者、周辺機器はサードパーティに。「誰かと連携することで、軸をぶらさない」が昨今の成功の戦略ではないでしょうか。
「時間と行動の継続」Continuity
新しいOSXとiOS 8に搭載されるContinuityは、デバイス間での作業をスムーズに行える新機能。たとえば、iPhoneで途中まで書きかけたメールや書類を、デスクトップですぐに再開できたり、iPhoneをカバンや上着から取り出さなくても、デスクトップで電話を受けられる機能。
「途中まで電車でメールを書いたけど、長くなりそうだから続きは自宅で…」という場合を想定した便利機能。ユーザーは手間や時間を節約できる。こうした機能は、ユーザーの行動形態や心の移り変わりをよく理解しています。
こうしたことは、外側からは見えづらく、リサーチにも現れにくいことです。ユーザーのライフスタイルを想定して「ユーザーの行動形態や心の移り変わりをちゃんと理解すること」が肝かと。
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