1月21日、シスコシステムズはコラボレーション製品を刷新し、セキュアゲートウェイや統合管理ツール、ゲスト用のUCアプリ、UC(Unified Communication)サーバーの仮想アプライアンス版などを一挙に投入した。
柔軟なアクセスや使い勝手を追求
シスコは、モバイルやクラウドを活用したコラボレーションソリューションに注力しており、既存の電話システムとIPベースの音声、ビデオやInstant Messenger(IM)を統合したUCのほか、会議やコンタクトセンター、コラボレーション用のエンドポイント端末を提供しているアプリケーションを幅広い環境で利用できるようにしている。発表会で登壇したシスコ コラボレーションアーキテクチャ事業 執行役員のアーウィン・マッティー氏は、自宅と職場などでデバイスやアプリケーションが異なるため、複雑性はクラウド側に巻き取ることで、エンドユーザーの使い勝手を向上させ、コラボレーションをよりシンプルにしていく必要があると訴えた。
今回発表された「Cisco Expressway」は、ユーザーの場所を問わず、さまざまなコラボレーションツールをすぐにアクセスできるセキュアゲートウェイ。TLS(Transport Layer Security)のプロトコルを経由して、UC向けの「Jabber」やTerePresenceの音声、IM、ビデオなどの通信を保護する。VPNクライアント不要で、エニーツーエニーのセキュアな通信が可能になる。
また、このExpresswayを使うことで、社外のパートナーやコンサルタント、コンシューマーなどのゲストアクセスを可能にする「Jabber Guest」も提供される。IMやWebサイトのリンクをクリックするだけで、双方向のビデオ会議を開始。高精細な音声とビデオを使ったり、データを共有することができる。スマートフォンのカメラを使って、QRコードからビデオ会議をスタートさせることも可能で、サポートやプレセールス窓口などで利用できる。
製品ではなく、IP電話機などの新機能として発表されたのが、BYODのコラボレーション機能である「Intelligent Proximity」だ。これはユーザー個人所有の持ち込み端末をオフィスにあるシスコの端末と近づけると、自動的に電話帳や通話履歴を同期するというもの。初期リリースは、「DX650」と連動するほか、2014年の春にはCisco TelePresenceと連動し、共有された資料の操作を手元のスマートデバイスから行なえるようになるという。
その他、音声やビデオシステムの統合管理を実現する「Cisco Prime Collaboration」や第2世代のテレプレゼンス端末「Cisco TelePresence MX300 G2」、低価格なIP電話機「IP Phone 7800」、仮想アプライアンスとしても提供されるUCサーバーの「Unified Communication Manager 10.0」なども合わせて発表された。IP Phone 7800は、すでに発売中。その他は2014年の上半期に逐次販売開始される。
日本での販売体制も大幅強化
発表会では中小企業向け製品や日本での販売施策についても言及された。
昨年はシスコ製サーバーであるCisco UCSにコラボレーションアプリケーションをバンドルした中小企業向けのアプライアンス「Cisco Business Edition 6000」を発売した。UC、ボイスメール、IM&プレゼンス、アテンダントコンソール、ページング(同報)、コンタクトセンター、ビデオ連携、保守運用など多彩な機能を搭載しつつ、シスコ認定のサードパーティアプリケーションも搭載可能。BIOS、RAID、仮想マシン、インストールファイルまでセットアップ済みで、スピーディな導入が可能だという。
このCisco Business Editionを中心にした1000名以下の企業に向けた特別プログラムも用意され、ネットワーク機器まで含めた特別価格で提供される。昨年からは大塚商会(2013年12月)やKDDI(2013年9月)などが販売代理店として加わり、販売体制も強化された。
一方、5000名以上のエンタープライズ向けには、ナレッジワーカー分のライセンスで全従業員が利用できる「Cisco Enterprise Agreement for Collaboration」を用意した。20%までの社員増までは追加ライセンスが不要。デバイスごとでライセンス管理する必要がなく、会議室や受付など共有スペースでの機器のライセンスも要らなくなる。