今回のことば
「1年前に日本を訪れてLINEを見た。我々は、ここから学ぼうと考えた」(米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEO)
モバイル時代に即したプラットフォームを提案
米セールスフォース・ドットコムは、2013年11月19日~21日、米サンフランシスコにおいて、Dreamforce 2013を開催した。
全世界82ヵ国から、13万5000人以上が事前登録。ライブ動画配信のSalesforce Liveを通じて、20万人以上が視聴するなど、過去最大規模のソフトウェアイベントとなった。 ここで発表したのが、Salesforce1である。従来のSalesforceで提供してきたプラットフォームをベースに、モバイル時代に対応したプラットフォームへと大きな進化を遂げるとともに、Internet of Customers(顧客のインターネット)を実現するためのプラットフォームだと、米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEOは位置づけた。
そして、ベニオフ会長兼CEOは、2年前に立てたモバイル戦略が誤りであったことを認め、その反省をもとに、Salesforce1へと進化させてきたことを明かす。
Salesforce1では、APIを10倍以上に拡張し、様々なモバイルデバイスに対応するようにしたことも、その取り組みのひとつだ。
「モバイルデバイスで活用するために、十分といえるだけのAPIを備えているとはいえなかった」とベニオフ会長兼CEOは語り、Salesforce1での進化点を強調してみせた。
LINEを手本にしたと語るベニオフ
そのなかで、ベニオフ会長兼CEOが明かしたのが、Salesforce1の進化において、LINEを手本にしたということだった。
LINEは11月25日に、全世界で3億人ユーザーを突破。今年1月の1億人突破から勢いはさらに加速。来年には5億人突破を見込んでいる。
「1年前に、東京を訪れたときに、LINEを見る機会を得た。すぐに技術者に連絡をとり、LINEを見せ、我々はここから学ぶべきだと提案した」と、ベニオフ会長兼CEOは語る。
LINEをみて感じたのは、スマートフォンの利用形態が変化していることだった。LINE独自のスタンプを活用したコミュニケーションは、スマートフォンならでは特徴を生かしたものだと感じたという。
「LINEは、素晴らしいパブリッシャー。成功モデルのひとつである。利用者を巻き込んだコミュニケーション手法のヒントになった」と、ベニオフ会長兼CEOは語る。
モバイル戦略を立案する米セールスフォース・ドットコムの戦略部門エグゼクティブ・バイスプレジデントのクラレンス・ソー氏は、「マーク(=ベニオフ会長兼CEO)に呼ばれ、LINEをインストールさせられた。すぐにハローキティのスタンプが送られてきた」と笑う。 顧客とつながるインターネットの世界を目指すSalesforce1の根底には、LINEのコミュニケーションノウハウが生かされているというわけだ。
この連載の記事
-
第592回
ビジネス
まずは現場を知ること、人事部門出身の社長が続くダイキン -
第591回
ビジネス
シャープが堺のディスプレーパネル生産を停止、2期連続の赤字受け -
第590回
ビジネス
生成AIに3000億円投資の日立、成長機会なのか? -
第589回
ビジネス
三菱電機が標ぼうする「サステナビリティ経営」、トレードオフからトレードオンへ -
第588回
ビジネス
富士通の子会社でDX専門のコンサルティングをするRidgelinez -
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? - この連載の一覧へ