トレンドを抑えたファッションアイテムを安く購入できることから、20代の女性を中心に約138万人が訪れる人気アパレルECサイト「夢展望」。2005年にファッション通販をスタートさせてから順調に売り上げを伸ばしているが、1回当たりの平均客単価は5000円程度と決して高くない。そのため、リピート率向上が売り上げのカギ。リピート率向上に向けた取り組みについて、夢展望の永里元気広報担当に話を聞いた。
──夢展望の高いリピート率を支える理由はなんでしょう。
訪問頻度は「毎日」が41%と最も高く、次いで「1週間に1回以上」が37%を占めます。理由のひとつは価格設定。私たちが提供している商品は、大体衝動買いしやすい3000円以内に価格を設定しています。いわゆる「ファストファッション」として、お客さまに何度も足を運んでもらえる価格なんです。商品を2〜3点組み合わせても5000〜1万円台で購入できますから。
両親や彼氏に代わりに支払ってもらえる「おねだり」ボタンを設置していることも大きいですね。購入画面で「おねだり」を選ぶと、両親や彼氏にその商品が欲しいというメールが届きます。このおねだりが成功して実際に購入してもらえる確率も約8割と非常に高い。お客さまに聞いた話だと、両親や彼氏に商品やコーディネートを事前に確認してもらうことができるので、「買っていいよ」という了解を得やすいそうです。
最新の着こなしを提案する動画や画像コンテンツも充実させています。昨年は夢展望の衣装を着た役者が登場するコメディドラマ「野々村家の人々」を無料で配信し、好評でした。1日2〜3回ひまつぶし感覚でサイトを訪れる人も少なくありません。こうした取り組みが功を奏したのだと思います。
──リピート率を高める上で課題となることはなんでしょう。
夢展望の年齢別分布をみると、20代前半をピークに利用者が下がっていきます。年齢があがると服のテイストが変わるというのも要因のひとつかもしれません。30代になってもサイトを「卒業」しないよう、30代の女性向けブランド「Chapter One」をテレビ通販のQVCと共同開発しました。1月にブラウス3型をQVCの通販番組で紹介したところ、1日の販売定数はほぼ完売。商品の価格は5000〜1万円程度で夢展望の通常の価格帯より高めです。
──高いリピート率を維持するため、ブランドへの信頼をどのように高めていますか?
雑誌やドラマで夢展望の衣装を使ってもらうことでブランドとしての信頼性を高めています。わかりやすい例だと、30代女性向けのスーツは報道番組のアナウンサーも着用しました。こうしたメディアへの露出が入り口での安心感につながります。
さらに長期間、安心して使ってもらうためには品質管理が重要です。これがダメだとお客さまが離れてしまいますから。例えば、毎年人気のブーツは100件以上レビューが書かれます。そのレビューを次のシーズンの新商品をつくる上での参考にしています。その他、ツイッターへのすべての質問に返信するなど、ユーザーとのコミュニケーションは品質を維持するために欠かせません。
アスキークラウド1月号(11月24日発売)では「対アマゾン 流通本土決戦」と題し、リアルとネットの境を越えて繰り広げられる「対アマゾン」の顧客争奪戦の現場をレポート。特集内では夢展望の最新コーデ提案の仕組みについても紹介している。