10月2日、キヤノンマーケティングジャパンはオセの業務用高速連帳プリンター「Océ ColorStream 3000 Zシリーズ」を発売した。商業印刷やデータプリントサービスなど幅広い商業印刷の需要を満たすという。
プレプリント用紙への追い刷りが不要
今回発表したOcé ColorStream 3000 Zシリーズは、キヤノンとオセが日本国内向けに特別に開発したモデル。定評のあるオセの「DigiDot印刷」の品質を実現しており、印刷解像度は1200dpi相当を達成しているという。最大印刷幅は21.25インチ(540mm)で、印刷速度別に48m、75m、100mの3種類を用意する。最速でA4両面で毎分1350ページの印刷が可能となっている。
Océ ColorStream 3000 Zシリーズでは、請求書やダイレクトメール、トランスプロモなどの製作で使用されている「Z紙」にインクジェント方式の高速連帳プリンターとして世界で初めて対応した。従来のデータプリントサービスにおいては、電子写真の高速連帳プリンターであらかじめ印刷していたプレプリント用紙にモノクロで追い刷りを行なっていたが、Océ ColorStream 3000 Zシリーズでは、フォームとデータをオーバーレイし、カラーで直接印刷することが可能になる。印刷物のサプライチェーンを大きく改善することが可能だという。
また、ロール紙の給排紙ユニットを増設することでZ紙とロール紙の同時配給を可能にした。本体の奥行き1.4mという省スペース、軽量設計を実現し、国内での省スペース需要に応える。印刷業務をアウトソースする「データプリントサービス(DPS)」と「商業印刷」の多彩なニーズに対応する。
デジタル印刷の1兆円市場を狙う
発表会では、キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長 川崎 正己氏とオセ CEO アントン・シュアーフ氏が登壇し、戦略や製品概要について説明した。
キヤノンMJグループは、2011年より開始した5カ年計画の中で、商業印刷事業の強化を掲げており、2010年3月にオランダのオセをキヤノングループの傘下に迎えた。その上で、プロダクション系機器としてハイエンド系はオセ、ミッドレンジ以下はキヤノンでラインナップを構成。2012年5月には業務用プリンターの販売やサポートで高いシェアを誇る昭和情報機器を子会社化し、多品種少量やオートメーション化の進む商業印刷市場への進出を確実に進めてきたという。
川崎氏は、「商業印刷の市場自体は縮小傾向にあるが、デジタル印刷の分野では拡大している。現在の約4000億円の市場が、早くて5年後に1兆円の規模に拡がる可能性がある」(川崎氏)と指摘した。
こうした中、国内市場に投入されたOcé ColorStream 3000 Zシリーズは、キヤノン、オセ、昭和情報機器の3社がそれぞれの強みを発揮し、Z紙への対応などを進めたという。さらにモノクロから4色フルカラー、最大6色へ、あるいは片面から両面仕様への拡張、48m、75m、100mへの速度アップなども可能で、初期コストを抑えて、あとから拡張できる点も大きなメリットだという。
価格はオープンで、発売は2014年4月から。