神奈川県に本社を置くNECカシオモバイルコミュニケーションズが、スマートフォン(スマホ)の新規開発を中止し、現在販売中の機種をもって生産と販売を終了したニュースはまだ記憶に新しいはず。
NTTドコモのツートップ戦略のあおりを受けた格好だが、新たな企業が「スマホ廃業」に追い込まれた。大阪府に本社を構えるパナソニックは、国内の個人向けスマホ事業からの撤退に向けて最終調整に入った。携帯電話事業は営業赤字が続いており、NTTドコモに対して今冬の新製品以降、新製品を供給しない方針を固めている。携帯電話基地局事業も売却する方針で、不採算事業の1つである携帯関連事業を抜本的に見直すという。
一方で、京都府に本社を置く京セラは、米国での携帯電話市場に安価な端末を投入し、シェア4位につけ好調だ。北米でのスマホ市場開拓も視野に入れ、その先陣として8月27日(米国時間)、新しいスマホ端末「ハイドロエリート」を発表した。4.3インチのHD液晶を搭載した4G/LTEに対応しており、深さ1メートルの水中でも30分間耐えられる防水機能がウリ。また、騒音の中でも声が聞き取りやすいスピーカー機能「スマートソニックレシーバー」を搭載。独自の機能を盛り込んでシェア獲得を目指す。
同じく本社が京都府の任天堂も、米国市場に新製品を投入して売り上げ拡大を狙っている。8月28日(米国時間)、廉価版のゲーム機「Nintendo 2DS」を10月12日に販売すると発表した。Nintendo 3DS用ソフトが2Dモードで遊べる。価格は、3DSの169.99ドル(約1万6600円)よりも40ドル安い129.99ドル(1万2700円)。
裸眼での3Dや折りたたみができないなど、3DSに比べて機能面で劣る部分はあるものの、価格で買い控えていた消費者に対してリーチできると見ている。
エンターブレインの調査によると、任天堂はゲームソフトの国内販売本数も好調で、前年度比36.9%増の1642万本。3DS用のソフト「とびだせ どうぶつの森」が数字を伸ばした要因だ。国内シェアでも前年度比8.6%アップの32.4%でトップを走っている。
国内でシェアを伸ばせずに苦戦する企業がある一方で、グローバルと国内で抜かりない戦略を展開して好調な企業もある。単なる偶然だろうが、京都の企業が強い図式が出来上がってしまった。