数十年以上前から長年ハッセルブラッドを愛用していた私の親父とは対照的に、筆者は生まれついてのカメラ音痴だ。親父が丁寧にカメラの手入れするのを毎日のように眺めていても決してカメラの趣味にはハマることは無かった。
そんな筆者だが、今から約20年前の発売日に手に入れたカシオの初代デジタルカメラ「QV-10」は衝撃的だった。そして雑誌と並行してウェブにも原稿を書かせて頂くようにもなり、自身で対象物の撮影をする必要性に迫られ、自然とデジタルカメラにも興味を持つようになった。
デジカメ業界は、つい先ごろまでテクノロジー分野では成長産業の花形であり、明るい話題の多かった業界だが、世の中のデフレが急加速し、牛丼の値段が200円台になり、100円マックが登場した頃からおかしくなってきた。
デジカメ各社が揃い踏みした市場活性化の秘密兵器“ミラーレス一眼”は、発売当初こそ高値をキープするが、発売後3ヵ月も経つと30%引きはあたりまえ、半年以上経つと50%引きの商品も登場してくる。
アッという間にモデルチェンジが起こり、大枚をはたいて買った愛器はもう何世代か前のオールドモデルと化す始末だ。
常に最新モデルに見えるデジカメを使いたいミーハーな筆者にとって、価格引き下げと、それによって必然的に起こる新モデル発表の繰り返しは、今後買うデジカメの選択に大きな変化を与えた。
少なくともケータイのように頻繁なモデルチェンジがなく、長く使っていて愛着が湧き、古さを感じさせない極めてオーソドックスな昭和なアナログカメラ的な商品を探した。
残念なことだが、筆者の主観では、国内カメラメーカーにも“なんちゃって昭和レトロ”な雰囲気のデジカメはあったが、完全に条件を満たしてくれそうな商品はなく、最終的に海外製品である「Leica X2」を買うことにした。本当は「Leica M-E」(ボディーのみで50万円超)を買うべきだろうが、それは将来の夢としてとっておくことにした。
ライカが自社開発した「Leica X2」
廉価モデルとはいえ20万円超!!
廉価版モデルに入るLeica X2でも価格は約21万円。国内メーカーのミラーレス一眼の価格帯と比較すれば極めて高価な商品だ。しかし、総出費額は頻繁にモデルチェンジして、販売価格が下落し、アッという間に愛器が時代遅れの様相を呈する可能性の高い国産ミラーレスの新モデル+レンズキットを2回か3回買い換えるのとほぼ同じくらい。
従来のライカ・デジタルカメラの普及機は、富士フイルムやパナソニックのOEM商品だったが、今回のLeica X2も含め、先代モデルである2010年2月に出荷開始した「Leica X1」もライカオリジナルの企画設計製品だ。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
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