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iBookstoreとともに「村上龍電子本製作所」が始動

2013年03月08日 07時00分更新

文● 大木信景〈HEW〉

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 アップルが6日、iBookstoreでの日本語書籍の販売を開始した。昨年末から噂のあったiBookstore日本版が、いよいよ開店の運びとなったというわけだ。

 iPhoneやiPad、iPod touchのiBookアプリ用の電子書籍が購入できるiBookstoreには、小説からビジネス書、コミックなどが多数ラインアップ。池波正太郎、赤川次郎、あさのあつこをはじめ、数多くの著名作家や新進気鋭の作家による幅広いセレクションの作品が揃う。なかでも注目されるのが、「空港にて」「希望の国のエクソダス」等の小説も読める村上龍の限定作品「心はあなたのもとに」。小説中に出てくるメールの文面が、まるで本当にメールをやりとりしているかのような視覚演出を伴って各章に現れるなど、より深く物語の世界に入り込めるようなインタラクティブな仕掛けが施されたiBookstoreオリジナル作品となっている。

 その村上龍だが、iBookstore日本語版オープンに合わせ、同氏の著作とプロデュース作品を発行するプライベートブランド「村上龍電子本製作所」を新たに立ち上げた。村上龍電子本製作所公式サイトには、上記iBook用作品を含め、これまでリリースしてきた電子書籍やアプリが並ぶ。また、今後の活動や新作情報についても同サイトで随時発表するとしている。

<村上龍氏からのメッセージ>
 2010年2月、故スティーブ・ジョブズ氏が、「iPad」という画期的なデバイスのプレゼンテーションを行った。その映像を見たとき、わたしはちょうど『歌うクジラ』という長編小説を脱稿したばかりで、稲妻に打たれたような衝撃を味わった。「このiPadで君の新しい小説を発表したら?」ジョブズ氏がそう言っているような気がしたのだ。
 それ以来、わたしは、リッチコンテンツ化した『歌うクジラ』を製作し、単行本に先行して販売するという作業と交渉に没頭した。電子版『歌うクジラ』の製作は、心躍るものだった。これまでの紙本とは違う、まったく新しい表現領域に足を踏み入れたのだと思った。その思いは、今も変わっていない。
 村上龍電子本製作所は、テキストの自律性を損なうことなく、映像、画像、音楽などを組み合わせた「リッチコンテンツ」の可能性に挑戦し続ける。 その表現領域は広大で、開拓ははじまったばかりであり、まったく違うジャンルとして、確立されるべきだと思っている。

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