日本マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)である加治佐俊一氏が、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校で、「ITとセンサーで社会の課題を解決しよう」と題した特別講義を行なった。
横浜サイエンスフロンティア高校独自の
サイエンスリテラシーカリキュラム
横浜サイエンスフロンティア高校は、2009年4月に開校。先端科学技術の各分野の研究機関、大学、企業が科学技術顧問に就任して、生徒の学習を支援するという仕組みを採用しているのが特徴だ。
日本マイクロソフトと横浜市、横浜市教育委員会は、2010年6月に、世界で幅広く活躍する人材の育成や、ICTの活用による先進的な教育環境作りに関する連携で合意(関連リンク)。その中で、同社が全世界で展開している教育支援プログラム「イノベーティブ スクール プログラム」(Innovative Schools Program/ISP)を日本で初めて展開する一方、日本マイクロソフトの加治佐俊一最高技術責任者が、同校の科学技術顧問に就任して、同校で先端科学に関する講義を行なうことを盛り込んでいた。
今回の特別講義は、この合意に基づいたもので、同校独自のサイエンスリテラシーのカリキュラムにおいて、1年生240人を対象に、3クラスに分けて講義を行なった。
横浜サイエンスフロンティア高校の佐野和夫教諭は、「アイディアをどう実現するか、そのためにはどんな考え方をするべきかといったことを、研究者の立場から伝えてもらいたいとお願いした」と語る。
サイエンスリテラシーは年間29回実施され、1コマで95分間という通常の2コマ分にあたる時間を割いている。全29回のうち、24回は外部からの講師を招聘し、生命科学分野、環境・化学分野、ナノテク材料・物理分野、情報通信・数理分野、地球科学分野の5つの最先端科学分野に関する講義を行なっている。
「驚きと感動によって、知の探究につなげるのが本校の教育方針。サイエンスリテラシーは、それを象徴する授業と位置づけている」と佐野教諭は語る。
「Kinect」を題材に、新たなユーザーインターフェースを解説
2013年2月1日に開催された特別講義では、加治佐最高技術責任者が、PCのインターフェースが、CUI(キャラクターユーザーインターフェース)、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)、そしてNUI(ナチュラルユーザーインターフェース)へと進化していることを説明。「Kinect」による新たなユーザーインターフェースを使ったデモストレーションを行ない、さらに、マイクロソフトリサーチで研究開発が進められている、指先で様々な操作を可能にする「Digits」をビデオで紹介した。
マイクロソフトリサーチで研究開発が進められている「Digits」 |
「皆さんが生まれる前に登場したWindows 3.1は、GUIを採用したのが特徴。当時、使い方が分からないという初心者に対して電話でサポートしていたが、画面上の『はい』、『いいえ』のボタンをマウスを使って押してくださいと言ったら、マウス本体を画面に当てていたという笑い話があった。
一方Windows 8では、タッチ機能によって、画面の『はい』、『いいえ』に指でタッチするだけで進む。Windows3.1のときに、ユーザーがやっていたことは正しいことであり、当時はコンピューターがそこまで進化していなかったにすぎない。これからは、ますます自然なユーザーインターフェースが大切になってくる」などと語った。
「高校での特別講義は生まれて初めて」とする加治佐最高技術責任者が、特別講義の題材にKinectを選んだのは、これからの新たなユーザーインターフェースを担うデバイスであること、そして、アイデアが広がりやすいデバイスであると、自らが考えていることが背景にあった。
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