このページの本文へ

Dreamforce 2012レポート 第3回

米セールスフォース ジョージ・フーCOOインタビュー

価値は数十億ドル!COOが語るSalesforce Marketing Cloud

2012年09月21日 11時00分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 米セールスフォース・ドットコムが開催中のDreamforce 2012の会場において、ジョージ・フーCOOが取材に応じ、「今回発表した新製品群は、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)にとって、すべてが重要な製品であり、とくにSalesforce Marketing Cloudは、数10億ドルものビジネスに成長する潜在性を持ったものになる」などと語った。

米セールスフォース・ドットコムのジョージ・フーCOO

 今回のDreamforce 2012では、マーケティング領域に対する製品、サービスの強化が大きな鍵になっている。

 同社によると、例年のDreamforceでは、全参加者の3~5%であったCMOおよびマーケティング部門担当バイスプレジデントなどの比率が、今年のDreamforceでは約20%に拡大するなど、参加者の顔ぶれが大きく変化しているのが特徴だ。それを裏づけるように、同社が発表した新製品群は、CMOをはじめとするマーケティング部門関係者の利用を強く意識したものになっている。

 フーCOOは、「企業においてCMOが使うIT予算が、数年後には、CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)が持つ予算を上回ることになるだろう。この傾向はすでに出始めている。これは自然な流れである」とし、「セールスフォース・ドットコムは、セールス、サービス、そしてマーケティングにおいて、具体的なソリューションを持っているのが強みである」と解説した。

 同社は、Radian 6を買収したことで、マーケティング部門向けプラットフォームを用意し、ソリューションを提供できるようになった。これについて同氏は、「もともとセールスフォース・ドットコムは、セールスおよびサービスのリーダーであり、これらのソリューションとマーケティングを組み合わせた提案へと大きく踏み出すことができるようになった。多くの企業は、ソーシャルメディアを活用したマーケティングキャンペーンを単に実行するだけでなく、ビジネスプロセスに統合したいと考えている。これを可能にするのが今回発表した一連の新製品群であり、ここにIBMやオラクルとの違いがある」という。

 さらに、「Salesforce Touch Platformは、セールスフォースに投資したアプリケーションを次世代にも活用できるようにするプラットフォームであり、また、Chatter BoxやWork.comは、Facebookとの連動など、ユーザーエンゲージメントを図るソリューションとして重要な役割を果たす」などとした。

 一方で、CIOに対しての訴求も忘れない。

 Dreamforce 2012において、400人のCIOを集めたミーティングを開催したことに触れながら、「これまでCIOは、ミッションクリティカルのシステムを動かすことだけに労力を費やし、新たな分野への投資については踏み出せない状況にあった。だが、セールスフォース・ドットコムのソリューションを活用することで、その状況が変わりつつある。
米合衆国のCIOであるKCコールマン氏によると、従来はIBMの基幹システムにおいて、1万7000のレガシーアプリケーションを管理していたものを、セールスフォース・ドットコムのプラットフォームを活用することで、これを15に統合。さらに、6カ月で28の新たなアプリケーションを出すことができたという。これまでは、ビジネス部門の中で評価されていたセールスフォース・ドットコムであったが、IT部門からも評価され始めている。これは、レガシーのベンダーにとって大きなプレッシャーになる」などと語った。

 今回発表した新製品の中では、「Salesforce Identity」がCIOのベネフィットにつながるとし、「セールスフォースIDを利用すれば、一度クリックするだけで、ほかのパスワードを使用することなく、他社のさまざまなサービスを利用できるようになる。オラクルやSAPにもアクセスでき、さらにIT部門が必要とする管理機能を備え、ワークフローやビジネスプロセスとも連動できる。新たな社員を採用したときや、社員が辞めた時の管理にも効果的であるばかりでなく、Salesforceにとっては、エコシステムをひろげることができるツールにもなる」という。

 また、日本市場への展開についても言及。「セースルフォース・ドットコムにとって、米国以外でもっとも大きな市場が日本であり、大規模な顧客もいる。そして、年率40%以上の成長を維持している。大規模なプライベートイベントの開催をはじめとして積極的な投資を行なっていること、エグゼクティブが何度も日本を訪れていることからも、日本の市場にコミットしていることを理解してもらえるだろう」と語りながら、「日本では、まだまだ成長の機会があると考えており、われわれのイノベーションに関心を持ってもらっている企業も少なくない。これからも積極的にソーシャルやクラウドを活用したソリューションを日本に投入していくことになる」などと述べた。

 そして、「ソーシャル革命の時代になり、セールスフォース・ドットコムは、信頼性と透明性に価値をおきはじめている。また、2004年からロードマップを公開し、多くのユーザー企業が将来に渡って、セールスフォースの製品を活用できるようにしている」と締めくくった。

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード