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ストレスフリーな超小型サーバーでITが変わる!

もう遅いとは言わせない!ARM搭載マイクロサーバーの実力

2012年07月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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手のひらサイズのサーバーとしておなじみのぷらっとホーム「OpenBlocks」がまた進化を遂げた。今回は大手ベンダーに先駆けARMコアのプロセッサーを採用。小型、省電力、堅牢という特徴に加え、高性能まで実現し、もはや死角のない逸品に仕上がった。

我が道を行く「OpenBlocks」に待望の新製品

 クラウドや仮想化の普及により、サーバーのコモディティ化が一層進んでいる。ユーザー自身もスペックと価格のみで製品を選定する傾向に移りつつある。しかし、こんな風潮をどこ吹く風とばかりに、小型、省電力、堅牢性を突き詰めるべく進化を続けているのが、ぷらっとホームの超小型Linuxサーバー「OpenBlocks」である。

 OpenBlocksでは、ハードディスクやファンといった稼働部品、ホコリなどを呼び込むことになる排気口などを徹底的に排除。故障要因を徹底的に排除することで、高い稼働率を実現している。また、冷却の難しい場所や狭いスペース、ホコリの多い場所などの通常のサーバーでは設置が難しいところでも、メンテナンスフリーで動作させることができる。さらに、省電力CPUの採用や省リソース化により、汎用の低消費電力型ラックマウントサーバーに比べても、70%以上削減という圧倒的な省電力を実現している。こうした特徴が受け入れられ、通信事業者やサービス事業者を中心にした法人用途で、すでに累計6万台の実績を誇っているという。もはやマイクロサーバーの定番といえる存在だ。

 そしてこれまで培ってきた小型、省電力、堅牢性といった特徴を継承しつつ、ARMコアのプロセッサーを搭載することで高性能化を図ったのが、今回紹介する「OpenBlocks Aファミリ」である。6月7日に発表されたのが、ハイエンドモデル「OpenBlocks AX3」と、エントリモデル「OpenBlocks A6」の2機種。以下、もはや「マニア向け」とはいえなくなった、OpenBlocks Aファミリの実力について解説していこう。

ハイエンドモデルにあたるOpenBlocks AX3

多彩なインターフェイスで幅広く使える

 まずは外見を見ていこう。OpenBlocks AX3は101.0(W)×142.1(D)×41.0(H)mmという相変わらず超小型サイズで、重さも約370gにとどまる。スリットの入った上部のヒートシンクがポイントで、もちろんファンレス。オンボードメモリは1GBで、空きのSO-DIMMスロットに最大2GBのメモリを追加可能。また、1GbEポートが2つ、もしくは4つのモデルが用意されている。周辺環境温度45℃の動作保証も行なわれており、設置の自由度も高い。

1Gbpsポートを最大4つ搭載できるOpenBlocks AX3

 一方、OpenBlocks A6は81.0 (W) x 114.5 (D) x 36.0 (H) mmで、重さも約205gとAX3に比べてさらに小型・軽量だ。オンボードメモリは512MBで、こちらは1GbEポートを1つのみとなっている。周辺環境温度はOpenBlocks AX3と比べても10℃も高い、55℃の動作保証が行なわれており、かなり過酷な環境での動作もOKだ。

AX3より小型・軽量なOpenBlocks A6

こちらは1GbpsポートとGPIOを搭載する

 こうした小型サイズにも関わらず両者とも多彩なインターフェイスを用意している。OpenBlocks AX3の方は、内部ストレージ用のSATAポート×1、外部ストレージ用のeSATAポート×1、USB2.0ポート×2、周辺機器接続用のRS-232Cシリアルポート×2、そして無線LAN搭載を想定したmini-PCI Express x1スロットまで用意されている。OpenBlocks A6はeSATAポートがなく、USB2.0ポートも1つだけだが、代わりに8ビットのGPIOが用意されている。センサーや計測器などと接続する際の汎用インターフェイスとして利用できる。

ARMコアのプロセッサーで省エネ+高性能

 OpenBlocks Aファミリの最大の特徴は、なんといっても省エネ・高性能なARMプロセッサーを搭載したことだ。従来のOpenBlocksは組み込み用途で実績の高いPowerPCを採用していたが、動作クロック数が低く、シングルコアであったため、「OpenBlocksって省エネなんだけど、性能がねえ……」という声につながっていた。これに対して、OpenBlocks Aファミリでは、組み込み機器やスマートフォンの市場で高いシェアを持つARMコアのプロセッサーを採用することで、省エネと高性能を両立させているのだ。

 ハイエンドモデルのOpenBlocks AX3は、ARM Cortex-A9ベースのデュアルコアARMADA XP 1.3GHz、エントリモデルのOpenBlocks A6はARM9ベースのシングルコアARMADA 310 600MHzを搭載する。消費電力は最大でも13.0W(AX3、4ポートモデル)もしくは6.0W(A6)に抑えており、昨今の省エネニーズに確実に応える。

 気になる性能に関しても、インテル Atomプロセッサーを搭載したサーバーと同等の高い処理能力を誇る。以下の通り、HTMLファイルの配信数を、同社のAtomサーバーと同じクロック数換算で比較した同社がテストしたグラフを見れば、OpenBlocks AX3の方がより多くのリクエストをさばいていることがわかる。一方で消費電力は低いので、1Wあたりの処理性能はAtomサーバーの約3倍を実現している。こうした高い性能はプロセッサーに負うところも大きいが、LAMP環境での動作に影響を与えるFPU(浮動小数点演算装置)の搭載や、低速なCFの代替となるSATAインターフェイスも、性能を引き上げる要因となっているようだ。

1Wあたりで3倍の処理能力を実現

 なお、搭載されるOSは汎用性の高いDebian GNU/Linux 6.0になる。Java SE Embedded 6およびJava SE Embedded 7をサポートしており、組み込みアプリケーションなどのデプロイも可能になっている。

 このようにOpenBlocks Aファミリではこれまでに比べて効率の良いプロセッサーと潤沢なハードウェアを採用することで、利用用途を大きく拡げることに成功している。OpenBlocks AX3であれば、Webのフロントエンドやセキュリティ対策、ネットワーク監視など、OpenBlocks A6ではセンサーデバイスや計測器の観測・制御、ネットワークインフラの導入や運用、データロギング、M2M用途などで幅広く利用できるだろう。もちろん、アプライアンスとしての組み込みも可能で、搭載する機能や添付物などもユーザーのニーズにあわせて、柔軟にカスタマイズできるメリットもある。

 参考価格はOpenBlocks AX3では5万9800円から、OpenBlocks A6では3万6800円からとなっている。エントリモデルでスペックを絞り込んだOpenBlocks A6の価格は、過去に比べても一番安いとのことだ。

ARMのメリットをアプライアンスでも!

 また、ぷらっとホームは、汎用サーバーOpenBlocks Aファミリとともに「手間なし導入・手放し運用」を謳うアプライアンス「EasyBlocks」の新製品も発表している。今回発表された3モデルは、OpenBlocks Aファミリと同じくARMプロセッサーを搭載した新ハードウェアを採用しており、これまでよりも大規模環境での利用が可能になったのが大きい。

 まず「EasyBlocks Enterprise」は、RADIUS、DHCP、DNS、NTP、Syslog、Proxy、監視管理などのネットワークサービスを提供するアプライアンス。ARMプロセッサーの恩恵で、DHCP、NTP、DNSなどのサービスで3000端末、Proxyで300端末程度(170Mbps)をサポート。大規模なネットワーク環境でも十分なパフォーマンスを実現する。

RADIUS、DHCP、DNS、NTP、Syslog、Proxy、監視管理などを提供するEasyBlocks Enterprise

 また、インターネットイニシアティブのSACM(Service Adaptor Control Manager)という管理サービス基盤に対応。有償オプションを追加することで、アプライアンスをネットワークに接続するだけで、自動的に設定をダウンロード。運用管理もすべてWebのインターフェイスから行なえるようになる。多拠点展開などでの運用の手間を減らし、コストを削減するのに最適だ。

 EasyBlocks Enterpriseにあわせて、快適なWeb閲覧のためのコンテンツキャッシングを実現する「EasyBlocks Webキャッシング向けProxyモデル」、デジタルアーツのi-FILTERを搭載した「EasyBlocks Webフィルタリング向けProxyモデル powered by i-FILTER」も発表された。

省エネ時代のサーバー選びに有力な選択肢

 ARMプロセッサー搭載のサーバーは、省電力・高性能を実現すべく大手ベンダーも製品化を進めているところだ。しかも製品としてはデータセンターでの需要をメインとしており、フォームファクターもモジュール型やブレード型になる公算が高い。これに対し、ぷらっとホームは省エネ・省スペースなマイクロサーバーという形で、ARM搭載サーバーの製品化にいち早くこぎ着けた。グローバルベンダーが注目するサーバー用途でのARMプロセッサーの潜在能力を見抜き、同社が長年培ってきたノウハウを結実させた超小型サーバーに載せてきた。なんとも頼もしいのではないか。

 省エネも、性能もあきらめないOpenBlocks Aファミリ。サーバー選びにこだわりを持つユーザーにとって、有効な選択肢が現われたといえよう。

(提供:ぷらっとホーム)

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