日本ヒューレット・パッカードが販売している2つのウルトラブック(Ultrabook)、“Spectra”と“Folio”。ともに薄型筐体採用でウルトラブックらしさを感じるが、スペックやユーザー層は好対照だ。特にSPECTRAは他のウルトラブックと一線を画する、デザインの美しさが光る1台。ここにきてラインアップも充実してきたウルトラブックの市場。その魅力はどこにあるのか? 本誌ライターおよびMac誌編集者で議論した。
(司会進行は小林/ASCII.jp編集部ディレクター)
「ウルトラブック=MacBook Air」じゃない
── まずはウルトラブックのデザインについて話そうかと思っています。ぶっちゃけ、ウルトラブックってMacBook Airの2匹目のドジョウなんじゃないの? 的な意味合いもこめて、MacPeople編集長の吉田さんも呼びました(笑)
一同 「(苦笑)」
石井 「まあ確かに各メーカーが公言しているわけではないですが、初期のウルトラブックには、MacBook Airのデザインを意識していたり、参考にしているものも多かったように思います。ただ、インテルがこのプラットフォームを推進していく背景を考えたとき、僕は“MacBook Airがヒットしたからやる”という単純な理由だけではなく、タブレットがモバイルPCの市場を侵食していくことへの危機感があるんじゃないかと考えています。インテルが直接そう語ることは、もちろんないのですが、絶対そうでしょう」
── というと?
石井 「タブレットに匹敵する薄型軽量のパソコンが必要なんですよ。ウルトラブックに搭載されている、超低電圧版のCPUは別に新しいものではなく、昔からあったものです。ただ数年前は低電圧でも動かせる、選別品のCPUとしてプレミアム価格で提供していた。その方向性を敢えて捨てたのがウルトラブックという考え方です。価格1000ドルを目安にして、携帯性が高いノートを手軽に開発できるCPUを戦略的な価格で提供したわけです。本体は薄型化する。ただし、操作性を損なわないよう、ディスプレーやキーボードはある程度のサイズを確保するといった感じです」
── 最初の製品が市場投入されたのは昨秋ぐらいですが、今年に入って選択肢もどんどん増えてきました。
石井 「海外メーカーが中心ですが、今はちょうどSandy Bridgeを搭載した第1世代の製品が出揃ったタイミングです。本格的な製品は、Ivy Bridge搭載の第2世代からとも言われていますが、こちらは夏商戦に向けて市場に出てくると予想されています。インテルも市場に対してアグレッシブにアプローチしている。普及の速度についてはインテルが言うほどなのか、と個人的に疑問に感じる面もありますが、CMなどを積極的に展開していることもあって、一定の市民権は得ていると思います。製品のバリエーションも豊富になった。
インテルがここまで積極的なプロモーションを展開するのは、Centrino 2以来ですね。そういえば、今回は“ウル虎ブック”(関連記事)ですが、前回は“セン鳥ーノ”(関連記事)だった(笑)」