管理サーバー1台で25万台をサポート
自社導入で44万台のデバイスを管理!IBMがMDM市場に参入
2012年03月21日 06時00分更新
3月19日、日本IBMはiOSやAndroidなどのモバイルデバイスを一元管理する「IBM Endpoint Manager for Mobile Device」の提供を開始した。1サーバーで最大25万台というスケーラビリティ、既存のPC管理との統合などを大きな売りとする。
実績のあるクライアント管理ツールでモバイル機器も管理
IBM Endpoint Managerは、2010年7月にIBMが買収した米BigFixのクライアント管理製品をベースにしており、日本では2011年2月より提供を開始している。ライフサイクル管理、セキュリティ管理、パッチ管理、電源管理などの4つの製品が提供されており、異機種混在の大量のクライアント機器を効率的に管理できる。PC向けのクライアント管理プラットフォームとして提供されていたが、今回提供されたIBM Endpoint Manager for Mobile Deviceにより、iOSやAndroidなどを搭載した端末をIBM Endpoint Managerで管理することが可能になる。
発表会の冒頭、日本IBM ソフトウェア事業のモバイル戦略について説明した常務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏は、近年企業向けのモバイルデバイス活用が急速に拡大し、経営者も高い関心を持っていると説明。「弊社の製品もモバイル対応が強く求められてきた」(マハジャン氏)。しかし、企業でのモバイルデバイス導入には、「セキュリティ」「複数プラットフォームの開発費」「クラウド統合」の大きく3つの改題があると指摘。これに対して、IBMとしては企業の業務システムやクラウドとの統合、複数プラットフォームのサポート、高度なセキュリティを含む包括的な活用・管理などの要件を満たしていくと説明した。
続いて日本IBM 理事 ソフトウェア事業 Tivoli事業本部 荒川朋美氏が、IBM Endpoint Managerの特徴について説明した。
まず同氏はIBM Endpoint Managerの最大の特徴として、1台の管理サーバーで最大25万台に対応するというスケーラビリティを挙げた。これはエージェント自体がリレー用のノードとして動作するためで、ネットワークに負荷をかけずに自律的に配布を行なうことが可能になる。「エンドデバイスが最適な経路を選んでリレーしていく。パッチ適用などの負荷を大幅に減らせる」(荒川氏)とのことで、数多くのデバイスの管理が可能になっている。
実際、1000社近い事例の中で平均の管理台数は9万台におよび、IBM自身も44万台のデバイスをIBM Endpoint Managerで管理しているという。「パッチ適用を自動化したり、新興国で課題だったセキュリティポリシーの遵守も徹底し、初年度で1000万ドルのコスト削減が可能になった」(荒川氏)といった効果を上げており、年内には75万台におよぶIBMの全デバイスをIBM Endpoint Managerで管理する予定だという。
従来からもWindows、Linux、HP-UX、AIX、Solaris、MacOS、VMware ESXなど広範なプラットフォームをサポートしていたが、今回提供されるIBM Endpoint Manager for Mobile Deviceにより、iOSとAndroidが加わる。機能としては、データのリモートワイプやロックのほか、セキュリティポリシーの適用、アプリケーション管理、位置情報を元にしたトラッキング、端末情報や構成管理などで、MDM(Mobile Device Management)としての機能を網羅する。価格は管理デバイスあたり、8660円(税別)。
MDM製品は市場に数多く出回っているが、Tivoliブランドの運用管理ツールとの連携や既存システムやクラウドとの統合を大きな売りとする。対応端末数が多いことから、まずは数千台のPCを保有し、モバイル活用を検討しているユーザー企業に提案するほか、中小企業においてはパートナーを経由し、クラウド型で利用できるモデルも検討しているという。
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