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「Red Hat Enterprise Virtualization 3.0」が国内リリース

VMwareに勝つ?レッドハットの仮想化ソフト「RHEV 3.0」

2012年01月26日 09時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

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 1月25日、レッドハットは仮想化ソフトウェア「Red Hat Enterprise Virtualization 3.0」(RHEV 3.0)の国内提供の開始を発表した。

KVMベースの仮想化ソフトウェアの新バージョン「Red Hat Enterprise Virtualization 3.0」

 RHEVは、Linuxカーネルに組み込まれたハイパーバイザー「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」をベースとする製品。管理ソフトウェアである「Red Hat Enterprise Virtualization Manager」が本バージョンからオープンソースになり、大手の商用仮想化製品の中で唯一、すべてがオープンソースになったという。

ハイパーバイザーから管理ツールまでオープンソースとなった

 同日行なわれた記者発表会では、レッドハット マーケティング本部プロダクトマネージャの石井 明氏らがRHEVの優位性をアピールした。同社OSの大手ユーザーはすでにRHEVの導入または試験導入を開始しており、UNIXからLinuxへの移行を推進した同社の実績から見ても、VMware製品からRHEVに移行するのは自然な選択肢であるとした。

RHEV 3.0の優位性を語るプロダクトマネージャの石井 明氏

 これを裏付けるのが、「Red Hat Enterprise Linux」の開発によって培った高いパフォーマンス、スケーラビリティ、そしてコストだという。

 まず、「SPECvirt_sc2010」のベンチマークによれば、2ソケット、4ソケット、8ソケットの環境においてRHEVがそれぞれ最上位であり、全体の上位6製品はRHEV搭載だったという。また、スケーラビリティに関しても、1ホスト(物理サーバー)あたりの実行可能な仮想マシン数は、vSphere 5が512であるのに対しRHEVは1000以上、仮想マシンに割り当てる仮想CPU数もvSphere 5の32に対し、RHEVは64と、RHEVが優位だとした。

パフォーマンスベンチマークではRHEVが上位を占めた

RHEVなら仮想マシンを1000台も実行できる

 そしてコストだが、RHEV 3.0は年額制のサブスクリプションサービスでの提供となり、価格は物理サーバーのソケット単位だ。具体的には、電話およびWebサイトによるサポート(月~金の午前9時から午後5時まで)が付属する「スタンダード」が年額6万4900円/ソケット、同サポート(週7日24時間)が付属する「プレミアム」が年額9万7400円/ソケットとなる。

 レッドハットの試算によると、2ソケットで64GBメモリ搭載の物理サーバー10台の環境で比べると、1年目の費用はvSphere 5が約1070万円、RHEVが約190万円(プレミアムの9万7400円×20)となり5倍の差が生じる。さらに、vSphere 5では利用する仮想メモリの量が増えるとより高額なエディションを購入しなければならない価格体系のため、物理サーバーのメモリが256GBになると差は10倍に広がるという。

RHEV 3.0とvSphere 5の価格差(RHEVでは1年目と同額の料金が翌年以降も必要なため、両者の差額は徐々に縮む)

 なお、RHEVには、仮想デスクトップ向けの「Red Hat Enterprise Virtualization for Desktop」も用意される。これは、通常のRHEV(RHEV for Servers)サブスクリプションのアドインで、仮想デスクトップを転送するためのSPICE(Simple Protocol for Independent Computing Environments)プロトコル、Linux/Windows上で動作するシンクライアントとブラウザのサポートなどが含まれる。

 提供は仮想デスクトップの同時接続数単位で行なわれる。価格はスタンダードが月額4万8800円/25接続、プレミアムが月額7万3200円/25接続となる(両者の違いはRHEVと同じ)。

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