年々被害が大きくなってきているネット犯罪。スマートフォンの普及も相まって、今後は対策を行なわないユーザーは簡単に被害に遭ってしまうことも多くなるだろう。今回、 「ノートン インターネット セキュリティ 2012」の発表会場で、シマンテックでセキュリティアドバイザーを務めているアダム・パーマー氏に、最新のネット犯罪の動向を伺うことができた。アメリカや日本では、一体どのようなネット犯罪が主流になってきているのか、我々が身を守るためにもそのアドバイスに耳を傾けてみよう。
性的犯罪者は
ソーシャルネットワークを利用する
――経歴を拝見させていただくと、ネット犯罪、とくに子供がどのように犯罪に巻き込まれるのかというところを重点的に監視されていますね。
アダム・パーマ-(以下アダム):はい。今回は世界24ヵ国でネット犯罪に関しての大規模な調査を行ないました。日本でもっともよくあるネット犯罪がウイルス/マルウェアの感染で、2番目によくある犯罪が性的犯罪でした。
今回の調査結果を受けてメッセージの1つとして強調したかった点は、防衛するための最新のソフトウェアの対策手段をとりましょうということ、それ以外にも個人情報の漏えいや他人がネット上で近づいてくるということに関して、慎重になりましょうということです。
残念ながら、これはアメリカでもケースは同じなのですが、今申し上げましたようなきちんとしたセキュリティの対策をとっていません。そしてネット上で他人が近づいてくるということに対して、慎重に対応するということがなされていません。そのため子供に対しての性的犯罪が蔓延してしまっています。
――例を聞きたいのですが、どうやって子供に近づいてくるのでしょうか。
アダム:よくあるものとしてはソーシャルネットワーキングを使って、「友達になりましょう」とか「フォローしてください」という形です。残念なことながら、こういった関係性を利用して、子供に対して犯罪を犯す人というのはたくさんいます。
ただ重要なのは、ソーシャルネットワーキング技術は良いものであるという点です。犯罪を犯すのは人間であって、コンピュータや技術が犯罪を犯すのではありません。それを賢く、安全に使うというのが重要なことなのです。
――御社の製品を使うことにより、そういったサイトなどから近づいてくる人間に対してのプロテクトができるのでしょうか?
アダム:私どもの製品の1つに「ノートンオンラインファミリー」というものがあります。そのツールを活用することによって、それは特に親が子供をこの製品を使って守るということが可能です。
今回の調査のレポートでは矛盾がありました。というのも、回答者の日本人の成人のうち、約90%が、ネット犯罪が怖いという認識を持っています。しかし同じ成人のうち、最新のセキュリティソフトを導入している人というのは半分にも満たないという結果が出ています。
――となると、怖さはわかっているけども、対策を取っていないという人がほとんどなのですね?
アダム:そうです。
――それはアメリカでも同じような状況なのでしょうか?
アダム:同じ問題があります。一方ではネット犯罪は怖いものだと認識しているのですが、しないというよりも、どうやっていいのか分からないということもあると思います。
――私も子供がいますので、こういった犯罪には巻き込まれてほしくないというのがあります。親としての心構えをどのように持っていればいいのかというのをアドバイスするとしたらどのような感じでしょうか。
アダム:まず第一に重要なのが、自分の子供がネットを利用して何をしているのかということを把握することです。家の中で子供がオンライン活動している、ネットを利用している、いったい何をしているのかということを分かった上で、「ノートンオンラインファイミリ-」やそれ以外のセキュリティ製品を使って、ツールで子供を守るということにあると思います。
さらに大人でもネットを利用している中で、自分の個人情報をネットに晒してしまうことがあると認識した上で、それは攻撃の対象になり得て、それに対しての自己防衛をしなければならないと思います。
セキュリティソフトウェアを入れる理由の1つとしては、ネットを利用する上で「このWEBは大丈夫だ、このリンクは不正である」という判断が個人ではなかなかできないところにあります。ツールがあればそれを判断できます。そうしたツールを活用することによって問題を検出してウイルス感染やその他の問題を予防できます。