単に「現在時刻を表示する」という“時計機能”を時計以外が提供することができなかった時代には、時計の機能の中で一番大事なモノは、人が時刻を読み取る文字盤の「視認性」だった。20世紀に画期的に普及した腕時計もそれは同じだった。
世界中のほとんどすべての腕時計メーカーが「視認性」の良さを競い、大量の腕時計が出荷された。その後、本来の時計以外のテレビやビデオレコーダー、そしてケータイが機能の一部として時刻表示機構を搭載し始めた頃、腕時計の一部は単なる“現在時刻を知る”という機能を提供する道具ではなく、ファッションとしての色彩を持ち始めた。
多くのファッショントレンド的な腕時計が競合する現在、従来なら腕時計としては常識であった「視認性」という要素は、あえてそれを外すことで、市場の注目を集めることができる時代となった。表面的な視認性の低さの先陣を切ったのはBell&Ross社の見えない腕時計「ファントム」だ。
「ファントム」は、ベルトから文字盤、時針、分針、秒針、ボディ本体まで、全てがつや消しブラックで統一、従来の視認性に重点を置く腕時計とは一線を画する新しいコンセプトだ。また「LunaTik」と呼ばれるキットを使用して腕時計にトランスフォームさせたiPod nanoも同様だ。しばらく放置すると、直ぐに節電モードに入り、画面は真っ黒になり、時刻表示を停止してしまう。
ファッションブランドのDIESELが発売した「Only-The-Brave」という腕時計も、別の要素だが、現在時刻の見づらさは良い勝負だ。Only-The-Braveは、この腕時計の説明は一切記述のない無意味な400ページもの分厚い汎用マニュアルとともに、ブラックボディの本体とは正反対のホワイトボックスに入って出荷される。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
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