風吹き荒び、雨打ちつける中
SUPER GT 2011初戦はスタートした
予選を4位で制したミクZ4(関連記事)。このまま表彰台まで一気に駆け上りたいところだが、決勝日は朝から突風が吹き下ろし、小雨もパラつく不安定な天気だった。午前中の練習走行は無事に終わり、お昼頃には一瞬太陽も顔を覗かせたが、風はどんどん強くなっていき、決勝レース直前には本格的に雨が降り出してきた。波乱を予感させる天候だ。
ミクZ4の車体は海外のレースで優勝経験こそあるものの、日本でのレースを走るのはこれが初めて。それでも予選4位につけられたのは、クルマのポテンシャルとドライバーの腕のおかげだが、(シェイクダウンも予選日も晴れだったため)雨のデータはまだないのだ。よりにもよって、決勝レースが初めての雨とは……。そんな状況の中、大橋監督は片山右京SDと相談してスタートは「インターミディエイト」(浅溝)のタイヤをチョイスした。これ以上雨がひどくならなければ、ドンピシャにハマるだろう。スタートドライバーは経験豊富な谷口選手。雨天で気温13℃、路面温度14℃という悪条件の中、グリッドウォークが終わり、いよいよミクZ4がスタートした!
雨のため、フォーメーションラップからそのままセーフティーカーが5周ほどを先導して、ローリングスタートで富士300kmのレースは幕を開けた。応援シートに詰めかけたファンの期待、そして東北の人たちへの支援・復興の想いを乗せて、雨のストレートを疾走するミクZ4。しかし、この天候と路面温度のせいで、序盤から他車のスピンやクラッシュが続出。荒れたレース展開になった。ミクZ4はいきなり、前を行く#27 イカ娘フェラーリと#66 でちゃうアストンをパスし、一気に2位へと踊り出た。だが、その後のタイムが伸びず、猛烈な勢いで追い上げてきた#25 ZENTポルシェらに抜かれてジリジリ順位を落としていく。そして、早々にピットインした。このピットインの理由を、大橋監督に聞くと……。
大橋監督「読みが外れましたね。インターミディエイトで行けるかなと思ったら雨足が強くなってしまい、谷口選手もタイムを落としてしまった。だったら早めに交換(修正)したほうがいいと思い、タイヤ交換を(指示)しました」
富士の天候はめまぐるしく変わるので、先の予想はまったくできない。ある種の賭けになってしまうのだ。応援シートも最初は風で大変だったが、レースが始まってからは雨がひどかった。濡らしてしまうといけないので、ケータイで情報をチェックできずに、皆かなりもどかしい思いをしていたに違いない。
そんな雨の中を、無人の野を行くかのようにトップ独走を続けたのが、#33 ハンコックポルシェ。何を隠そう去年後半のミクポルシェ(997 GT3R)である。以前から「雨のハンコックタイヤは強い」と定評はあったが、この日は強すぎた。GT300クラスの誰もが追いつけず、一度もトップの座を譲ることなくチェッカーを受けたのである。谷口選手も予選が終わったあとに「#33が速いので、どう追いつくかが課題」と語っていたほどだ。
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