次世代のコミッククリエイターの発掘・育成を目的としたコミック公募新人賞「第12回 電撃コミックグランプリ」の贈呈式が、東京都内のホテルで開催された。
12回目を迎えた今回は、一般公募作品と、「月刊コミック電撃大王」「電撃マ王」「シルフ」3誌の各新人賞への応募作品を合わせた計307作品が選考の対象となった。厳正な選考の結果、少年マンガ部門5作品、少女マンガ部門2作品の計7作品の受賞が決定した。
贈呈式には、選考委員を務めた、脚本家の大河内一楼さんや漫画家の高河ゆんさん、「テイルズ」シリーズの総合プロデューサーである吉積 信さん、アスキー・メディアワークス第3編集部部長・梅澤 淳の4人に加え、アスキー・メディアワークス代表取締役社長・髙野 潔、同取締役・鈴木一智の2人も出席した。
受賞者への贈呈に先立ち、プレゼンターを務める髙野社長より挨拶があり、「今回の電撃コミックグランプリでは、選考方法が変わったこともあり、受賞作品が大変パワーアップしたと思います。少年マンガ部門でグランプリを受賞した『BLACK THEATER』は、絵柄と画面の構成に迫力があり、アクションシーンをもっと見たいと感じましたし、少女マンガ部門準グランプリ受賞の『ウェザーレポート』は、顔に表示される天気記号で相手の感情を読み取れるという設定が、非常に少女マンガらしいと感じました。今後の皆さんの活躍が、これからの電撃コミックグランプリの発展にも繋がっていくと思いますので、大いにがんばってください」と、コメントした。
少年マンガ部門(選考評は敬称略)
グランプリ「BLACK THEATER」竣成
<あらすじ>
死者の怨念「迷い影」の退治を生業とする少女・メルセデス。地図に載っていない街に辿り着いた彼女が見たものとは――?
<選考評>
作り手としてのこだわり、美学が非常に伝わってくる。卓越した画力、読者を引き込むセンス、あまりある作家性・将来性に期待せずにはいられない。(吉積 信)
準グランプリ「サギリ参る!」梅木泰祐
<あらすじ>
遺跡の探索隊に同行する軍人・ヤタカは謎の女戦士・サギリに窮地を救われる。彼女は道中の案内役を買って出るのだが……。
<選考評>
情報量がしっかり計算された上で描かれており、完成度の高さは応募作の中でも群を抜く。絵柄の淡白さ、キャラの弱さを向上させることが今後の課題か。(大河内一楼)
準グランプリ「妖モノケーション」倉田コースケ
<あらすじ>
人と妖が共存していた遥か昔の物語。山暮らしの青年・秋那は、封印から目覚めた妖狐の少女の面倒をみることになって……。
<選考評>
全体的に華のある絵柄で、色っぽさの中にも清潔感を感じ好印象。しかし、その個性的な画力という長所が存分に活かされていないのが非常に惜しい作品だった。(吉積 信)
優秀賞「フィギュア・プラネット」梅ちゃづけ、「スプラヴトラヴ」mercre
優秀賞を受賞したのは、「フィギュア・プラネット」の梅ちゃづけさんと「スプラヴトラヴ」のmercreさんの2人。2人には正賞のトロフィーと賞金30万円が贈られた。
少女マンガ部門
準グランプリ「ウェザーリポート」長神
<あらすじ>
他人の感情が天気記号になって見えてしまう能力の持ち主・空。過去のトラウマからその能力を封印していた彼女のもとに、ある日学年一の有名人がやってきて……。
<選考評>
やや耽美さ・華やかさに欠ける面は見られるも、画力・ストーリーともに高い水準で、読み応え抜群。もう少し漫画的演出に注力してほしい面もあるが、今後に期待。(高河ゆん)
優秀賞「メガネの国のアリス」ゑむ
「メガネの国のアリス」で優秀賞を受賞したゑむさんには、正賞のトロフィーと賞金30万円が贈られた。
受賞者への贈呈の後に、選考委員を代表して第3編集部 梅澤部長より、総評を兼ねた挨拶がおこなわれた。
「第12回の電撃コミックグランプリは、少年マンガ部門から久しぶりにグランプリが選出され、大変実のある回になったと思います。「電撃大王」「『電撃マ王」「シルフ」の各誌でそれぞれの特色を出した新人賞の応募をおこなっていることもあり、応募作品は全体に電撃ブランドを意識してくださっている印象を受けました。今回は、クリエイターの方々に最終選考にご参加いただいたことで、将来の電撃のコミック誌を見据えた選考をおこなうことができました」と、コメントした。
なお、第13回電撃コミックグランプリの公募はすでに始まっており、締切は2011年9月26日となっている。また、今回の受賞作はコミグラ公式サイトですべて読むことができる。