SWOT分析とは、現状分析の手法の1つで、サービスや商品などの強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威 (Threats)を分析して、対象となっているものの問題点などを洗い出す方法です。新しい企画や戦略を考えるときに利用します。
Webサイトの制作においては、企画段階でWebサイト自体や取り扱っているサービス・商品などを分析します。SWOT分析の結果をWebサイトの戦略立案に利用することで、より効果的なサイトの提案ができます。
「強み」や「弱み」として考えられるものには、価格、容量、インフラ、カスタマーサービス、品質、コスト、知名度・評判、対応言語、ブランド力などがあります。「機会」や「脅威」としては、市場トレンド、競合他社状況、経済状況、政治・法規制などが想定されます。
WebサービスでのSWOT分析の活用方法
ここでは、ある会社が新サービスを開始すると想定として、SWOT分析の活用を考えてみましょう。
仮に、米アマゾン・ドットコムのインフラサービス「Amazon EC2」のプラットフォーム上にブログシステムの「Movable Type」を利用してホームページ更新システムを構築し、サービスとして提供するとします。この場合、強みとしてはEC2のインフラを使うことで、アクセスが増えた場合のスケーラビリティを考慮せずにサービスを立ちあげられる点が挙げられます。逆に弱みとしては、アマゾンが英語対応であることによる言語障壁が挙げられます。機会としては、世の中のクラウドサービス化の流れが挙げられるでしょう。脅威としては、国内のレンタルサーバー会社などが類似サービスを投入してくることが想定されます。SWOT分析は、このようなイメージで進めていきます。
SWOT分析の活用ポイント
SWOT分析を実施する目的は、分析することではありません。分析結果を関係するプロジェクトメンバーと共有することで、どのようなWebサイトを企画・制作するのがよいか、議論を深めるために実施します。クライアントの弱みは共有しづらいかもしれませんが、事前に判明した弱みを共有できればお互いの信頼にも繋がります。どのようなWebサイトを構築するかは経営戦略的な意味合いもありますから、クライアント以上に関連する情報を収集するつもりでSWOT分析を試してみてください。
なお、クライアントは制作会社をWebのプロフェッショナルとして、さまざまなWebサービスや業界の動向に熟知していると考えています。期待に応えるためにも、IT業界では特に目まぐるしく変化している「機会」や「脅威」の部分は、国内だけでなく海外の動向にも注意や関心を向けておく必要があるでしょう。
著者:水野良昭
JWDA(一般社団法人日本ウェブデザイナーズ協会)理事。1968年東京都生まれ。商社7年勤務後、シリコンバレーに渡米。帰国後、自治体WEBサイトを構築。その後ISPにてグループウェアASP商品化。第13回 KSPベンチャー・ビジネススクール 準優秀賞受賞。同ビジネスプランにて、オンラインデスクトップ株式会社を設立。