インテルが主催する開発者向けイベント「IDF 2010」2日目の基調講演では、ソフト担当のレネ・ジェイムズ(Renee James)氏とAtomを担当するダグラス・デイビス(Douglas Davis)氏による講演が行なわれた。どちらも中心はAtom。ここでは、登場したさまざまな製品を中心にレポートをお届けする。
MeeGoを採用するAtom搭載タブレットを披露
ソフトウェア&サービスグループ担当上級副社長のジェイムズ氏は、まず「話題のタブレットコンピューターには長い歴史がある」として、1989年のGRiD社の製品である「GRiDPAD」を紹介した。これはカリフォルニア州マウンテンビューにある「Computer History Museum」の所蔵品だ。
初期のタブレットは広く普及しなかったが、現在ではプロセッサーやタッチパネルの進歩により、タッチインターフェースは大きく変化したのだという。iPadに始まる昨今のタブレットブームは、すでにARM系プロセッサーを使ったAndroidタブレットを多数生み出している。PC系メーカーもタブレット分野への参入を発表しているところが多いが、インテル系プロセッサーを採用したタブレットはまだごく少数だ。というのも多くのメーカーは、インテルのタブレット向け新プラットフォーム「Oak Trail」の出荷を待っているからだ(関連記事)。
ジェイムズ氏は、企業買収など現状のインテルのソフトウェアビジネスを外観したうえで、米Havok社を紹介した。同社もインテルが買収した企業のひとつで、物理シミュレーション用のミドルウェアを開発している、特にゲーム開発分野では知られた企業だ。物理シミュレーションのデモでは、橋が破壊される様子や洋服などの布のシミュレーションを披露した。このHavokのソフトウェアもAtomプロセッサーに最適化されており、ネットブック系のマシンでも物理シミュレーションを使ったゲームを開発できるという。
また、LinuxベースのオープンソースOS「MeeGo」を採用するタブレットを開発した独4TIITOO社も紹介された。同社のタブレット「WebTab」は、来週ドイツで販売が開始されるという。
MeeGoをベースに作られた専用のGUIは、スクリーンの左右端中央に、上下にスクロールする領域があるのが特色だ。右端はWindowsでいえばデスクトップ領域のようなもので、搭載されたアプリケーションが並び、上下にスクロールして任意のアプリケーションを選べる。一方左側の同じような領域は、アプリケーションのプレビュー画面のようなもの。現在フロントエンドで実行中のアプリケーション画面の縮小イメージを見ながら、画面の上下スクロールができる。例えば縦長のウェブブラウザーの画面を、縮小イメージを見ながらスクロールして見たいところを選べる。この左右のスクロール領域を用意したことで、両手でタブレットを持ったまま、両手の親指で操作できるというのが、この独自UIの売りだ。
ジェイムズ氏はまた、Atom用のアプリケーションストアである「AppUp」(アップアップ)がベータ期間を終了し、本格的にスタートしたことも発表した。IDF会場であるサンフランシスコのMoscone Center West向かいには、Metreonと呼ばれる複合商業施設があるのだが、その1階にAppUpのショールームが設置されている。
さらにジェイムズ氏は、AppUpに全米に店舗を持つ米国最大の書店チェーン、米Barns & Noble(B&N)社が参加したことも明らかにした。B&Nは電子ブック市場にも参入しており、「NOOK」と呼ばれる専用端末やPC用クライアントソフトなども提供している。そのB&Nの電子書籍が、AppUp経由で購入できるようになるようだ。