ニコニコ動画には日々、大量の「ネタ」動画アップロードされつづけている。回転寿司のようなもので、見られるネタはほんの一握り。シリアスなものにせよ、笑えるものにせよ、再生回数は「ネタの鮮度」「料理のしかた」が決めると言っていい。
もう1つ重要なものがある。それはネタをさばく包丁――つまり、動画を編集するソフトだ。せっかく思いついた絶好のネタ。その魅力を最大限生かすためには、良いソフトを使うのが一番だ。
しかし、いきなりプロ向けのソフトを買うのは敷居が高い。何より価格が高い。というわけで今回は、AHS社が6日に発売した上級者向け映像編集ソフト「Movie Pro」の実力を見てみたい。パッケージ版の価格は1万5540円だ。
とはいえただ編集部がテストするのではもったいない。そこで、伝説のMADムービー「IKZO」をつくった全農連Pさん(関連記事)にソフトを使ってみてもらった。ニコニコ動画のヘビーユーザーから見て、Movie Proは「使える」のだろうか?
AHS「Movie Pro」
CPU:Core 2 Duo CPU(2GB)以上
メモリー:2GB以上
HDD:4GB以上の空き容量が必要
OS:WindowsXP/Vista/7
価格:1万5540円(パッケージ版)/1万1800円(ダウンロード版・発売予定)
いわゆる「ヌキ」も一発なんです
―― 全農連先生、今日はお願いします。それでどこから料理を始めるんですか。
全農連P なんすか先生って。ええと、おれの場合MADなんで、まずニコニコ動画から素材を集めます。「ニコニ・コモンズ」とか、けっこう使えるんですよ。ニコニコに上がってる動画ってMPEG-4が多いんですけど、それそのまま入るんで。
―― DVDとかBlu-ray Discも素材に使えるみたいですけど、今回はネットからってことで。でも、クリエイティブコモンズの動画ってあくまで「素材」じゃないですか。どうやって使ってるのか分かんないんですよ。
全農連P たとえば、最初に青空のエフェクトを使ってみましょうか(ニコニ・コモンズ)。こんな感じですね。アスキーのロゴと合成して……。
(アスキーのロゴが流れる)
―― わ、すごい! 「ASCII」ロゴの、青いところだけが青空になってるわけですね。しかも雲がゆっくり流れてる。これ、けっこうかっこいいじゃないすか。
全農連P プリセットの「クロマキー合成」ってやつを使ってるんですよ。「青」とか「緑」とか色を指定すれば(動画から指定の色部分を)抜いて、後ろの動画と合成してくれるんで。ブルーバック素材とかあったら便利ですよ。
―― へえー、いわゆる「ヌキ」ってやつですよね。こんな簡単に出来るんだ。
全農連P ですねー。しかも見た目かなりきれいなんで。そこにミックスかけて、単純に下の動画と合成しただけでも、全然見えるようになるんですよ。あと、このムーブメントエフェクトってのがおもしろくて。たとえばこのトラックに適用してみると……。
(左側の「AS」がアップになる。音楽にあわせ、右側にカメラが移動していく)
―― おー! きれいにパンしていきますね。ここまでやるとたしかにロゴっぽい!