オンラインストレージを使いたい、でも、セキュリティポリシー上それはできない……というジレンマは、どの企業でも共通だ。NTTPC コミュニケーションズは、こうしたニーズに対応するため「モバイルフォルダ」サービスを開始した。
同サービスは、FOMAデータ通信端末を使い、外出先から社内ネットワークにセキュアに接続するためのサービス「Master'sONE セキュアモバイル定額通信サービス」上で展開されるもの。
サービスプランは、無料の「一時保存タイプ」と「有料プラン」に分かれる。
一時保存タイプは容量1GBが用意されるが、アップロードしたファイルは2週間経つと自動消去されてしまう。紛失のリスクが常につきまとうUSBメモリと違って、データは常にセキュアな環境の上に置かれるのがメリットだ。現在USBメモリなどでデータを持ち出す機会の多いユーザー向けと言えるだろう。一時保存タイプは2月10日からサービスが開始される。
有料プランは契約期間中はデータを保管し続けるもので、4月1日からサービス開始予定だが、以下のメニューが用意されている。
- 1GB……1カ月315円
- 2GB……1カ月630円
- 4GB……1カ月945円
- 8GB……1カ月1575円
対応クライアントOSは、Windows XP、Windows Vista、Windows 7となっている。
モバイルフォルダ
の利点とは?
モバイルフォルダの利点はいくつかあるが、USBメモリやPCのように紛失のリスクがない点が大きい。運営元のNTTPC コミュニケーションズによれば、たとえば営業担当者がモバイルフォルダに営業ツールを入れておき、データを保存していない(OSとアプリケーションだけの)PCを持って顧客に出向き、商談中にMasters'ONE セキュアモバイル定額通信サービスに接続してモバイルフォルダから営業ツールを取り出す……といったスタイルが考えられるという。ネットカフェなどで使われているWindows SteadyState(PCをリセットすると、PCが起動時の状態に戻る機能)を併用すれば、擬似的にシンクライアント的な使い方=データを持ち歩かずにPC環境だけ持ち歩くことが可能となる。
すでにMasters'ONE セキュアモバイル定額通信サービスというVPNサービスを利用しているのだから、モバイルフォルダを使わずに社内のファイルサーバーに直接つなげばいいようなものだが、モバイルフォルダの場合はCIFSではなくWebDAVで接続されている点、3台のサーバーによる冗長構成である点など、速度/堅牢性共にメリットが大きい。しかも、1GBならば315円という気軽さだ。
同期機能は用意されていないものの、巷の同期ソフトを使って、まずはマイドキュメントのバックアップ的な用途で使ってみるのもいいのではないか。
Masters'ONE セキュアモバイル定額サービス
Masters'ONE セキュアモバイル定額通信サービスは、NTTPC コミュニケーションズが展開している、NTT東西のフレッツ網を使用したVPNサービス「セキュア・インターネットVPNサービス」のVPN網に、FOMA端末で接続するサービスである。
Masters'ONE セキュアモバイル定額通信サービスのメリットは、NTTドコモのFOMA網とNTT東西のフレッツ網を使うことでインターネットを利用しないセキュアな接続が保てるという点にある。ほかにも、FOMA端末紛失時に通信をロックする「カスタマコントロール」や、特定のパソコンだけを認証する「パソコン認証」、そして「ワンタイムパスワード」といったセキュリティ上必要な仕組みを提供している。また、遠隔からのデータ消去サービスも、今年4月から提供する予定だ。